アトラクトライト | ナノ

 記念撮影(5/5)



「爆豪と轟。試験終わったかな」



上鳴がそう呟くと各々手を止めて顔を上げる。
時刻は夕方。
日も暮れて辺りは真っ暗になっていた。



「もうそろそろ帰ってくる時間ですけど……」

「連絡も……来てねえな」



切島の言葉に俺もスマホを見る。
その言葉通り俺にも二人から連絡は来てなかった。
何事もなければ良いけど……。



「ま、あいつらなら大丈夫だろ。ケーキ焼けたぞー」

「スポンジふわふわっだあ!」

「まあ砂糖の言う通りだな」

「そーそー。オイラたちに出来るのは奴らの帰りを待つだけ」



そういいながら峰田はテレビをつける。
ついたテレビを見た瞬間、全員が声を漏らす。



「あ」

「あ」

「「「「あー!!!」」」」



《速報です。雄英生お手柄!仮免取得30分後に事件を解決とのことで……現場の花野アナお願いします!》







玄関の扉が開いた瞬間、準備していたクラッカーのひもを引っ張る。



「「「「仮免合格おめでとーー!!!!」」」」

「「…………」」



なんでそのことを?と言わんばかりに爆豪と轟は立ち尽くしてしまっていた。
そんな二人に俺は言った。



「ニュースでやってたの見たんだ。仮免取得30分後に強盗犯逮捕!?ってな」

「「…………はあ…」」

「え」



思っていた反応とは違って、爆豪と轟はため息をつく。
そして二人はごそごそとカバンを漁りながら口を開く。



「先生やオールマイトにも口止めしてもらってたんだが……」

「ンなクソ事件でバレるのは癪だが────」



二人はヒーロー仮免許証を俺たちに見せた。



「取ってきたぞ」



それを見たみんなからはわあっと歓声が上がる。



「おめでとー!」

「唯一勝ててたのになあ」

「まーまー。バクゴー!轟!よかったな!!」

「砂糖くんがケーキ焼いてくれてますわよ」

「腕によりをかけたぜ!」

「二人とも寒いだろう。早く中に」



がやがやと話しながらみんな中に入って晩御飯の支度を始める。
俺もそれに続こうとした時、轟に呼び止められた。



「ハル。待たせて悪かったな」

「…………本当にな。でも大切なこと気づけたんだろ」

「ああ」



轟はそう言って微笑んだ。
そんな姿を見て俺も思わず笑みが零れた。



「轟くん。ハルくん。どうした?」

「早くおいでよ」



飯田と緑谷に呼ばれた俺たちも顔を見合せて頷く。



「飯田。晩メシ後で良いからみんなで写真撮らねえか?」

「!轟くんがそんなこと言うなんて珍しいな」

「全員が仮免取れたら記念写真撮りたいと思って」

「轟くんらしからぬ発言……!」

「だが……名案じゃないか!せっかくならコスチューム着た姿でも良いかもしれないな……」

「飯田くん!相澤先生やオールマイトにも入ってもらおうよ」

「いいな!」



飯田と緑谷の話に気づいた他のみんなも加わる。
仮免記念の写真を撮ることはみんな賛成のようでいろんな意見が飛び交った。



「仮免許証みんなで持とうよー!」

「21人プラス先生たちか…どう並ぶ?」

「集合写真みたいなのは味気ねえしなあ」

「みんなの“個性”活かすのは?轟の“氷結”やヤオモモの“創造”で足場創ったり、浮けるやつは浮いたりとか?」

「なら演習場が良いな」

「明日の午後、演習じゃなかったっけ?」

「ちょうどいいな!なら早めに行って準備しよーぜ!」



わいわいとみんなが話す様子を眺めていると隣に爆豪がやって来た。



「よかったな」

「!」



そう一言だけ言って俺の隣で爆豪もみんなを見ていた。



「……ああ。ありがとな」



翌日、写真に写るのを嫌がる相澤先生をオールマイトと一緒に無理やり連れ込んでA組らしさ全開の“個性”が詰まった写真が撮れた。

翌々日に早速相澤先生がその写真を現像してくれてみんなに配ってくれた。
俺はそれを部屋に飾っているコルクボードの文化祭で撮った写真の隣に飾った。





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