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 ある雨の日の話(5/5)



想像以上に復旧に時間がかかってしまい、俺らのことを心配してくれて教師寮からこの雨の中わざわざ来てくれたらしい。
ありがたいことこの上ないけど……。



「はい。相澤先生。よかったらタオルをどうぞ」

「悪いな」



雨で濡れて水が滴る長髪から覗く顔は…暗闇の中で照らされると迫力が凄まじかった。
あれは一種のホラーだって。
絶対にわかっててやってたとみた。うん。

相澤先生が来てからすぐに電気は復旧して室内に明かりが灯る。
普段当たり前のように使ってるから無くなって気づくありがたさ。



「お前ら…この状況でトランプしてたのか」

「あ。大富豪!」



相澤先生に言われて思い出した瀬呂がそう言った瞬間、みんなの視線が机に集まる。
するとそこには驚いた拍子に机の上のカードはぐちゃぐちゃになってしまって続行不可能な状況が広がった。



「これはやり直しだな」

「時間も時間だ。早く寝ろよ」

「革命3連チャンなくなっちゃったね〜」

「そういえばハルも革命やろうとしてなかったっけ?」

「ハッ!そういえば────」

「あー…ごめん。それ冗談」

「紛らわしいことすんな!」

「いてっ」



爆豪にバシッと叩かれた頭を擦りながら笑った。



「いや〜そんな流れだったからついつい」

「ほ、本当に俺のシャッフルができていなかったと思ったよ…」

「飯田ごめんごめん。俺の手札に至ってはペアなし、12以下しかなかったからめちゃくちゃ切れてたぞ」

「え!?ハルくん激弱やん!」



そんな風に和気あいあいとしてると相澤先生が大きなため息を零す。
それにみんなは何かと首を傾げていると相澤先生は口を開いた。



「こんな状況だから言うのを躊躇ったが……もう少し気を引き締めろ。お前らの大好きな期末試験もすぐ控えているぞ」

「「「…………」」」



“期末試験”
そのワードにみんなが固まる。

二学期に入ってから授業のレベルがぐんと上がり、かつインターンも始まって忙しくて復習もままならなくて……あれ?俺やばくない?
そう思っていたのは俺だけではなくて上鳴が頭を抱えながら叫んだ。



「終わったーーー!!!」

「始まる前に終わらんでくれ」

「誰か……ヤオモモ!助けてくれ!!」

「え!?」

「上鳴だけズルい!ヤオモモ私もー!」

「ええ!?も…もちろんですわ!皆さんで必ず乗り越えましょう!」



ヤオモモの言葉にみんなもおーと士気が高まる。
そんな中、瀬呂が爆豪の肩をポンと叩くとみるみるうちに青筋が浮かび上がる。



「俺だって教え殺してやるわ!!!」

「(かっちゃん物騒……)」



こうしてカードゲーム大会で盛り上がっていた雰囲気から一変、迫る期末試験に向けての勉強会へとシフトしていった。
その様子を満足気に相澤先生は見ていたかと思うといつの間にか教師寮へと戻っていっていた。



「……なあ轟」

「どうした」

「もしかしてだけど……俺ら相澤先生に転がされてない?」

「………………」



これだからうちの相澤先生(担任)は……!!





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