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 ある雨の日の話(4/5)



「第1回!1年A組大富豪大会。チャンピオンシップの司会は委員長飯田と────」

「副委員長の八百万の二人でお送りしますわ」

「わー!」

「(なんか始まった)」

「まずは予選を勝ち抜いた皆さまのご紹介ですわ!」

「Aチームから切島くん!続いてBチームから芦戸くん!」

「お。ここ二人は勝ち上がってきたか」



そういえばこの二人って同じ中学だったよな。
中学校の中で大富豪流行ってたのか?



「Cチームからは爆豪さん」

「ハッ!俺にかかりゃ余裕だ」

「こんなとこでも才能マンかよ!」

「Dチームからハルさん」

「お前もかよ!才能マンコンビ!!」

「あはは……」

「最後に……Eチームから麗日くん!以上の5名だ」

「たまたま勝っちゃった…」

「頑張ってお茶子ちゃん」

「梅雨ちゃん…ありがとう!」



呼ばれた5人はセンターテーブルを囲うように座ると他のみんなは俺らを囲むように立ったりソファに座ったりと位置につく。
これから試合が始まるからか奇妙な緊張感が訪れる。

飯田が配ってくれた手札をまずは確認する。



「…………(こ、これは……)」



手札が…弱すぎる……!!!
1番強いカードが12って!?しかも地味に8もなければペアカードもほぼない…嫌がらせか…!?

なんて言ってても仕方ない。
与えられた手札で最大限やるしかない!



「シンプルルールで行きましょう。ではじゃんけんに勝ったハルさんから」

「じゃあここは穏やかに……」



手札に5を出して様子を伺う。
隣の芦戸は迷うことなく6を出した。
ってことは6はペアなしか…?
切島は……10!?いきなり飛ぶな……。

爆豪、麗日がパスしてくれないと俺出せるカードないわ……。



「……随分真剣だねえ」(ヒソッ)

「大富豪なのにね……」



二巡ほどした時に切島が動いた。



「8で切って……この時を待ってた!!喰らえ!“革命”!!」

「「「!!」」」

「くうう!俺の時代到来!」



嬉しそうに拳を握りしめる切島。
だが次の番だった爆豪が怪しげに笑う。



「残念だったな。切島」

「!お前まさか─────」

「最初から手札がでけえカード出して露骨なんだよ!」



そう言いながらカードを4枚机に叩きつける。
まさかの“革命返し”に切島は膝から崩れ落ちて行った。



「まじかよおおおお!!」

「甘ェんだよ!」

「…………」

「おい丸顔。早く出せや」

「……爆豪くん。ごめんね」



麗日がそう呟いた時、何かを察した爆豪はピクリと反応を示す。
だがそれを気に留めることもなく麗日はゆっくりと手札から4枚カードを取り出す。



「“革命返し返し”!!!」

「っ!?」

「1戦で3回も“革命”!?」(ザワッ)

「おい!クソメガネ!本当にカード切れてんのか!!?」

「イカサマなんてする訳ないだろう!たまたまだ!」



普段なかなか起こらない“革命”が連発してどよめく一行。
かくいう俺もまさかの展開に驚きを隠せずにいた。

その時、青山が言った。



「これでハルくんも続いたら本当に奇跡だね☆」

「いやいや。流石に────」

「流石になあ────」

「…………」



ジーッと期待の眼差しが向けられる。

俺はフッと小さく笑った。
そして手札から4枚手札を引き抜く。



「!」

「まさか!?」

「嘘だろ!!」



その時、辺りを照らしていたランタンがぷつんと切れてしまう。



「キャー!!なになに!?」

「真っ暗で何も見えないよー!!」

「みんな落ち着いて。きっと燃料が切れたのよ」

「新しいランタンを用意しま……」



ヤオモモの言葉を遮るように聞こえてきた扉の軋む音。

ここにいる全員が察した。
何者かが寮内に入ってきた、と。

突然暗闇に包まれてざわざわとしていたのとは打って変わって全員が口をつぐみ、何者かの行動を探った。
どんどん近づいてくる足音。
誰かが生唾を飲み込むと同時にその人は持っていた懐中電灯を自身の顔に照らした。



「「「「「「ぎゃああああああああ!!!!」」」」」」

「出たああああ!!」

「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏…」



全員がパニックに包まれる中、轟は「あ」と声を漏らす。
それを聞いたみんなが叫ぶのをやめてその人の方へ目をやった。



「心配して来てみたら……幽霊扱いとはな」

「あ……相澤先生」






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