◎ ある雨の日の話(3/5)
あれから爆豪は怒っていたけど、4階で別れて合流すると切島がなんとかなだめてくれたらしくなんとか機嫌を取り戻してくれた。
戻ってきた俺たちは持ってきたカードを机に広げる。
「トランプ、UNO……うおっ。なんだこの変な絵のカード」
「あ、名前つけるやつじゃん。面白いよな」
「!!!これ週刊誌ジャンジャン限定のオールマイトトランプ!!全国当選者5人の超レア物だよ!?これ誰の!!?」
「はーい」
「ハルのなんだ!うわあいいなあ…!54枚全部写真が違うなんてさすが凝ってるなあ!あ!これ限定コスチュームの────」(ブツブツ)
「………………あげよっか?」
「いやいや!申し訳ないよ!!」
「デクくんめっちゃ目泳いでる」
「緑谷、本当にオールマイトすきなんだな」
「ケッ」
遠慮する緑谷にオールマイトトランプは押し付けると泣きながら喜んでた。
そんな緑谷を見ると昔このトランプ使ってスピードして遊んでたなんて…オールマイトが印刷されたカードを叩いて飛ばしてたなんて絶対言えない。
この事実は墓場まで持っていこう。うん。
「大富豪しよー!」
「ルールはどうする?」
「8切りと革命と99車と────」
「いや、99車ってなんだよ!?」
芦戸の発言に峰田がツッコミを入れる。
どうやら地域によって大富豪はルールが異なるみたい。
そんな峰田に切島が代わりに答えた。
「9を2枚出すとカード流せるんだ。それを“99車”っつーんだ」
「初めて聞いたわ!尾白、お前知ってた?」
「俺もだ。もしかしてこういうのまだあるのか?」
「あとはそうだな……11バックとか7渡しとか?」
「はいはーい!私もそれなら知ってるよー!」
葉隠と同じように何人かも知っているような素振りを見せた。
そんなみんなに芦戸が問いかけた。
「じゃあ、Q(クイーン)ボンバーとかは?」
「わからんな……」
「うーん……」
「12を出す時に言った数字を場にいる全員の手札から捨てさせられるってやつだよ」
「いや強っ!!」
「シンプルルールと芦戸・切島のルール全盛り、どっちもやろうぜ!」
全員では出来なかったから5グループに別れた。
そしてその中で1番になった人達同士で対決するという方式で始まる。
俺は砂糖、尾白、葉隠の4人のチームになった。
「え!?待って!ハル、あと2枚なんだけど!」
「いつの間に…!」
「ふっふっふっ」
「しかもさっきハルが2だしたから……やばいよ!誰かー!」
「くっ……仕方ない。くらえジョーカー!!」
「尾白ナイスー!!」
「やるう!!」
どうだ。と言わんばかりの尾白の誇らしげな表情。
みんな甘いな。甘すぎる。
「くらえスペード3!!!」
「ぐはっ!!」
「お…尾白ーー!!」
「流してからの1で上がり」
「いやどっちにしても無理じゃん!1って!!」
「いえーい」
ニヤッと笑いながら3人目掛けてピースを向ける。
こういうアナログゲーム好きでヒロとかにも付き合って貰ってたんだよな。懐かしいなあ……。
場に出されたカードを回収して混ぜながら周りを見渡すと他のチームも決着がついたようだ。
よって始まったチャンピオンシップ。
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