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 新しい力とオール・フォー・ワン(4/5)



そんな俺らを見ながらヤオモモは笑う。



「盛り上がってますわね」

「ほんとにね。てかハルがはしゃいでるのなんか新鮮」



訓練や体育祭の様子しか知らない拳藤が口を開くと周りにいた他のB組メンバーも頷く。



「ゲームしてるハルくんあんな感じよね」

「そうね。ハルちゃんゲームしている時はいつも楽しそうよね」

「へえ〜」



俺の後ろに忍び寄るひとつの影。
だけどゲームに夢中になっている俺は気づかなかった。
そんな俺の名前を大きな声で呼ぶ。



ハルくん!!!

「!!」



思わず肩をびくりとする程の迫力に気圧されて俺は固まる。

久々にやってしまった……。
そう思いながら恐る恐る振り返ると顔に影を落として、背後にゴゴゴと効果音が出てそうな妙な雰囲気を醸し出す飯田が腕を組んで立っていた。



「いつまでゲームしてるんだ!ご飯冷めてしまったぞ!!」

「…………あ」



すっかり忘れていたビーフシチューの存在。



「ご、ごめん。すぐに食べ────」

「せっかくのランチディッシュの食事が台無しだ!それにあまり遅い時間に食べると消化にも良くないぞ!!」

「レンチンして熱々にしてから美味しく食べます!ちゃんと噛んで胃腸を労ります!!」

「うむ」



そう答える俺に飯田は頷く。
すると今度は一緒にゲームをしていた鉄哲達に視線を移すと人差し指でビシッと刺しながら言った。



「君たちも君たちだ!!楽しいのはわかるがハルくんに言ってやってくれ!!」

「わ…悪い……」



「飯田は…オカンみたいだね」

「これもよく見る光景やね梅雨ちゃん」

「そうね」

「ハルさん、ゲームし始めると止まらないですからね」



1戦だけ終えてすぐにご飯を食べるだろうと見通して机に配膳されている晩ご飯を見て流石に罪悪感に苛まれる。
心の中でもう一度飯田に謝りながら俺はビーフシチューを温めるべくレンジに向かう。

その道中食べ終わった食器を片付ける爆豪と目があう。
すると爆豪はバカにしたようにハッと笑う。



「怒られてやんの」

「う゛」



何も言い返せずに渋い顔をしていると爆豪は今度は勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
一体何と戦ってるんだ……?

約束通りレンジで熱々にしたビーフシチューを火傷しないように冷ましながら口に運ぶ。
出来たてじゃなくてもこのクオリティ…ランチディッシュ流石…!!

もぐもぐとひとり食べていると轟がやって来る。



「ハル」

「おっ」



俺は片手を挙げながら応えると轟は俺の前に座った。
ひとりで食べてて寂しかったし、話し相手になってくれるの嬉しいな。



「随分遅かったな」

「自主トレしてたら通形先輩が来てちょっと話してた」

「そうか。“圧力”の調整順調そうで安心した」

「まだ改善の余地ありだけどな。轟も怪我大丈夫?」



俺の問いに轟は頷く。
良かったと笑うと小さく轟も笑いかけてくれた。



「おまえは凄いな。追いつけたと思ったら…いつもすぐに先に行く」



だからさ、と紡ぐ。



「俺ももっと上へ行くよ」





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