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 君の進む先に光あらんことを(5/5)



「「「よっしゃああああ!!!」」」



ミッドナイト先生のアナウンスを聞いた俺ら三人はハイタッチを交わす。



「最初ハルが骨抜をあえて無視するって言った時は大丈夫か!?って思ったけど────上手くいったな!」

「二人の力あってだ。切島の“硬化”も砂糖の“シュガードープ”も進化してるから選択の幅が広がった。ありがとな!」

「なるほど!そういことか!」

「「?」」



突然切島がぽんっと手を叩いて何か納得したように呟く。
俺と砂糖が首を傾げていると頭に手を当てて悪いと謝りながら続けた。



「いや…最近のハルって俺らにも信頼おいてくれるようになったなって思ってさ」

「あーそれは同感!今回のでいうと骨抜が仕掛けてきたパイプの攻撃。あれ今までのおまえなら骨抜無視して俺ら救けに来てたよな」

「!そう言われれば……そうかも。二人なら大丈夫かと思って任せたんだけど……ダメだった?」



俺がそう聞くと二人は首をぶんぶんと横に振る。
あまりの勢いに呆気に取られていると二人は笑いながら言った。



「全っ然!あのくらいヨユーだぜ。な!砂糖」

「おう!」

「ハルが俺らを信じて任せてくれたことが嬉しかった。その結果、骨抜の確保も迅速に出来たわけだし!あん時の咄嗟の判断は流石だ」

「!」



まさかここまで褒めてくれたり、喜んでくれたりするとは思ってなかったから俺も嬉しい。
それと同時に恥ずかしいな……でも。
二人からの評価を今日は素直に受け取らせてもらおう。

そしてみんなが待つ待機場に移動し、相澤先生とブラド先生の講評を聞いた。
相澤先生は親指を立てた。



「敵の“個性”を考慮した上でどう動くか予測しての対応。三人の“個性”を上手く使った迅速な確保。見事だった」

「三人のコンビネーションを活かした堅実な作戦であった…が、今までの戦闘に囚われ柔軟さが少し欠けていた!」



一方のブラド先生は悔しそうに天を仰ぎ拳を握りしめていた。
クールそうに見えてブラド先生もB組が好きなんだよな。

そうしているとオールマイトが手を振りながら俺の方にやってくる。



「ハル少年!見事だったよ。その様子だと“圧力”のコントロールも大丈夫そうだね」

「ありがとう。でも“圧力”はまだまだ特訓が必要かな…さっきも狙った位置に二人を押し上げられなかった。さっきはうまく二人が対応してくれたから良かったけど俺自身もレベルアップが必要だ」



右手をグーパーしながら俺は答える。
顔を上げると何故か感極まって目に涙を溜めているオールマイトがいて思わず俺は仰け反る。



「ええ!?何事!?」

「いやあ……君も成長したなと思ってね。連携もそうだが切島くんと砂糖くんへの信頼あっての行動…君はもう独りでないことを本当の意味でしっかり理解したんだね」

「!」



今までの俺は「自分でやればいい」
そう思ってひとりでなんとかしようとしていた。
実際それでなんとかなる場面も多かった。
でも現場に出たりといろいろな経験を積んでいくうちに痛感する。

ひとりの力はとても小さなもので、それこそオールマイトのような強大な力がなければどうしようもできない時がやってくる。



「……オールマイト。俺さ。ここ数ヶ月でいろんな経験してきたんだ」



初めてのインターンや花府事件の解明。
そこで出会い別れた多くの人々。
そこで触れた多くの価値観や考え方。

それらすべてが俺をかたちどるかけがえのないものとなった。



「また俺の話も聞いてよ。オールマイト」



昔の俺を知ってるあなたにこそ知って欲しいんだ。



「……!!」




「……俺はヒーローにはならない」

「誰かを救けられるならそれで良い。それで護れるなら本望だよ…!」




「(随分とたくましくなって……本当に君ってやつは───)」



変わっていく俺をちゃんと見ててくれ。



「……ああ。もちろんさ!」



いつか大きく花開くその日まで。
一番近いところから。





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