◎ ヒーロービルボードチャートJP(3/7)
11月も下旬に差し掛かった頃。
俺たちインターンメンバー5人は相澤先生に教師寮に呼ばれた。
向かってみるとそこにはエリちゃんとビッグ3の3人がいて、エリちゃんが雄英に遊びに来ていたと思っていたら相澤先生から驚くべきことが告げられた。
「雄英で預かることになった」
「わーエリちゃんやったー」
「私、妹を思い出しちゃうわ」
「梅雨ちゃん妹いるんだな!」
「ええ」
「エリちゃんよろしくな〜」
「よろしくおねがいします」
照れながらも笑顔を見せるエリちゃんにつられて俺たちも笑顔になる。
どういった経緯か緑谷が尋ねると相澤先生と通形先輩に手招きされて寮の外へ連れ出される。
本人には聞かれたくない話があるのを察して、俺たちは黙って2人に着いて言った。
「エリちゃん親に捨てられたそうだ。血縁にあたる八斎會組長も長い間、意識不明のままらしくて現状寄る辺がない。いつまでも病院ってわけにはいかないからな」
「そんでね。先生から聞いたかもしんないけど“個性”の放出口になってるおでこの“角”」
「はい。縮んで今は大丈夫って聞きました…」
「わずかながらまた伸び始めてるそうなんだ」
通形先輩の発言を聞いて過ぎるのは“個性”の制御が出来なくなったエリちゃんの姿。
麗日がまたああならないろうに?と尋ねると相澤先生は頷いた。
「そういうことで養護施設じゃなくて特別に雄英(ウチ)が引き取り先となった。教師寮の空き部屋で監督する。様子を見て…強大すぎる力との付き合い方も模索していく。検証すべきこともあるし…まァ…おいおいだ」
「!(もしかしてエリちゃんの“個性”で先輩の“個性”を…)」
「相澤先生が大変そう」
一連の話を聞いて梅雨ちゃんが零した言葉に通形先輩がシュバッと勢いよく手を挙げる。
「そこは休学中であり、エリちゃんとも仲良しなこの俺がいるのさ!」
「通形先輩がいてくれるなら安心です」
「任せてくれよ水科くん!忙しいだろうけど皆も顔出してよね」
通形先輩の呼び掛けに間髪入れず俺たちはもちろん!と答えた。
その様子を見て通形先輩はニッと笑ってくれた。
するとねじれちゃん先輩にエリちゃんを任せたのか、天喰先輩が寮から出てきていて、通形先輩の肩に手を乗せた。
「エリちゃんが体と心も安定するようになれば…無敵の男の復活の日も遠くない」
「そうなれば嬉しいね」
通形先輩はそれだけ言うと笑った。
「早速で悪いが3年。しばらく頼めるか?」
「ラジャっす。オセロやろっと!」
「僕らもいいですか!」
「A組は寮へ戻ってろ。このあと来賓がある」
相澤先生に言われて寮に戻ろうとした時だった。
天喰先輩に肩をちょんちょんとつつかれて振り返ると教師寮の方を黙ったまま指さす。
すると教師寮の入口からねじれちゃん先輩が覗いていて、目が合うと笑いながら俺に手招きをした。
何かと思って戻ってみるとねじれちゃん先輩の後ろからエリちゃんが姿を現す。
手を後ろに隠して何か言いたそうにもじもじしていたから俺はしゃがみこんで同じ視線になるとどうしたの?と尋ねた。
「えと…その…これ」
少し恥ずかしげにエリちゃんが取り出したのはシロツメクサの花かんむり。
11月だったが例年より気温が高かったのもあってまだ咲いていたようだ。
くれるのか聞いてみるとこくりと頷いてくれた。
シロツメクサの冠は昔、幸もよく作っていたな。
少し懐かしさを感じつつエリちゃんの気持ちが嬉しくて俺は笑いながら言った。
「ありがとう。大切にする」
「!」
そういうとまるで花が咲いたようにエリちゃんも笑顔になる。
こうやって少しずつエリちゃんが明るく、普通の生活を取り戻していけると良いな。
また遊ぶ約束をして、もらったシロツメクサの花かんむりを大切に持って俺は4人の後を追った。
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