アトラクトライト | ナノ

 忘れないでいたいよ(5/7)



「おつかれさま。今日も遅かったわね」

「仕事が立て込んでてな…………ああ。お茶子、まだ起きてたのか?ただいま」




両親はいつも疲れた顔をしていてそれが辛かった。



「わあああ!!!」

「ありがとうヒーロー!!」

「かっこいー!!」



初めてヒーロー活動を目にした時、活動よりも周りの人々の表情に目が行った。



人の喜ぶ顔が好きだった。



だから困ってる人を助ける事は当たり前だった。
その当たり前がいかに大変なことなのか。



「目の前の……小さな女の子一人救えないで────皆を救けるヒーローになれるかよ!!!」



余裕がなくて必死に助ける彼を見てきたから思う。




ヒーローが辛い時、

誰がヒーローを守ってあげられるだろう。




「デクくん落ちつけ!!」

「止めっ…られ、ない!」



これはデクくんの意思じゃない!
“個性”が暴走してしまってる…!
私一人じゃ…どうしたら……。



「!!(心操くん!)」



そうだ。きっと彼なら────



心操くん!!洗脳を!!デクくん止めてあげて!!







「!」



緑谷に洗脳を!
何か!!
何か問う…。



「誂え向きの“個性”に生まれて────」



体育祭でおまえに負けた。



「心操くん!たしか前も相澤先生と一緒にいたよね」

「まァね」



ワクワクしてた。
あの時とは違う俺を見せてやれるって。



「俺は立派なヒーローになって、俺の“個性”を────」



また戦えるって!
楽しみにしてたんだぜ!!



「人の為に使いたい」



俺の声で、おまえに伝える。



緑谷ァ!!



今度こそおまえと同じ…対等な立場で!!



俺と戦おうぜ



少し強くなった俺を見てくれ。



「〜〜〜〜ん゛ん゛お゛お゛応!!



心操の言葉に答えた瞬間、体の自由が心操に渡り緑谷の暴走が止まった。





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