アトラクトライト | ナノ

 忘れないでいたいよ(4/7)



「は?」

「緑谷……!」



ばっと顔を上げてモニターを見つめる。
それに釣られた皆の視線も一斉にモニターに集まったその瞬間だった。
物間に飛びかかろうとする緑谷のグローブを突き抜け、腕から黒い鞭のようなものが何本も放出された。

当人も予期せぬ出来事に困惑の表情で自身の腕から出る黒い鞭を抑えようと腕を掴む。



《うゔゔゔうううう!!!》

《まーた知らない力(新技)か。嫌になる!》

《逃げて!!》



腕から出ている鞭が緑谷の体を包み込んだかと思うと、それが制御を失ったように一気に放出された。
そして無数に伸びた鞭が障害物にくっついたかと思うと今度はそれに緑谷が引き寄せられ飛び込んでいく。

物間は避けることに成功するが緑谷が飛び込んだ先にちょうど心操がいたらしく声をかけていた。



「緑谷どうしたんだ!?てかハルも大丈夫か!?」

「ごめん。俺は立ちくらみしただけ」

「…………(ほんとかよ)」

「緑谷また新技かぁ」



ちょうどカメラの死角になるところにいるため緑谷の姿は確認できない。
だけど黒い鞭はますます数・飛距離ともに伸ばしていき離れた場所にいる麗日たちや庄田たちをも襲った。

そして緑谷はそんな黒い鞭に弄ばれるかのように自身の体を引っ張られ、演習場の建物に体をぶつけていた。



「(明らかに様子がおかしい…!)」



オールマイトの方を見てみるとそう思っていたらしく、相澤先生に中止を訴えかけていた。



「(緑谷……!!)」

「……あいつなら大丈夫だろ」

「え…」

「もう誰にも心配かけねーっつったのはあいつだ。これで大丈夫じゃねーっつうならそれこそデクの坊だ」



心配そうな顔をしていたのか、俺の気持ちをくみ取った爆豪は力強くそういうとフンと鼻を鳴らしてモニターへと視線を向けた。
不器用だけど緑谷への信頼がなくては言えない爆豪の発言にハッとさせられた。

そうだ。
緑谷はワン・フォー・オールを使いこなしてきて、今ではその力をモノにし、A組での中心人物の一人で、今日の演習ではB組の脅威となっている。



「……爆豪。ありがとな」

「黙って見てろ」

「うん」



黒い鞭に飲み込まれそうになっている緑谷の元に麗日が“ゼログラビティ”を使って近寄り捉えることに成功する。
そして近くで緑谷を見ていた心操の名前を呼んだ。



《心操くん!!》





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