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 忘れないでいたいよ(3/7)



場所は代わり監獄“タルタロス”。
その警備室内には異変を知らせるアラームが鳴り響く。



「1541番だ。また動きやがった。昨日から何回目だ」

「…刑の確定と執行…急げないものかね。こっちの身が持たん」

「“一人殺せば殺人。百人殺せば英雄”」

「チャップリンだっけか?」

「先日も現れたろう?“ギガントマキア”。直系の部下だ。敵連合だけじゃない。こいつのシンパがどれだけ潜伏しているか……今は下手に刺激しない事が大事なんだよ」



看守たちが1541番、ワン・フォー・オールの話をしている中、当の本人は監獄の中で厳重な拘束具で身柄を拘束されていた。



「いやぁ…迷惑をかけてすまない。あまりの懐かしさに…体が疼いてしまってね。弟の声がする」



そう呟くと再会を懐かしむかのように嬉しげに笑う。



「君のおかげかな。さすが僕が作った───」







「…………」



ワン・フォー・オールを駆使しながら演習場を緑谷が駆け回る。
朝起こった“個性”の暴走を心配してたけど、今の感じだと大丈夫そうで一安心。

モニターを見ながら飯田が口を開く。



「緑谷くん達のフォーメーション。第4セットの爆豪くん達と似てるな」

「バランスも似てるからなー。ただ索敵(じろう)係がいない分俺らより慎重に動かないとすぐやられそう」

「そうだね…さっきみたいに誘い出して位置特定するンなら緑谷が爆豪以上の働きをしなきゃだね」



モニター上では緑谷か物間と対敵していた。
物間はなんとか喋らそうと緑谷を煽るような発言を繰り返すが緑谷は物間が心操の“洗脳”を“コピー”している可能性を考慮して口を噤む。
そして視線で麗日たちの居場所がバレないように考慮しつつ物間へと飛び込んで行った。



《心操くんとこんな話をしたよ。“恵まれた人間が世の中をブチ壊す”。彼らの友人なら教えてくよ。爆豪くんと…水科くんさ!何故彼らは平然と笑ってられるんだ?平和の象徴を終わらせた張本人がさァ!!》

「!」



乗り越えたつもりでいたけど…煽りとは言え言葉に出されるとくるなァ……。

確かにくるけど…………。



「…………」



オールマイトが護ってくれたこの世界を俺たちが護り抜いてみせる。
それが俺に出来る唯一の贖罪だ。



「!!」



その時、俺の視界がぐらりと揺れる。
ふらつく足取りに気づいてすぐに駆け寄ってきてくれた爆豪の肩を貸りれたおかげで倒れずにすんだけど…気持ち悪い。
体の奥底から何かが溢れ出すような───



「てめっ、だいじょ────」

「……く、る」





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