◎ 繋がる思い(6/7)
「到着ーっと」
「ありがとうございました」
「いーっていーって。イレイザーに連絡しとくな。授業中だから出るかわかんねえけど」
そういうとマイクはスマホを取り出して電話をかけ始める。
運良く繋がったらしく一言二言話すとハル
に向かって言った。
「水科。コスチューム…いや、体操服で良いから早く着替えて保健室向かえって」
「保健室?」
演習場では無いことに首を傾げながらも急いで体操服に着替えて保健室に向かう。
保健室前に着くと10台くらい救護ロボが一気に出てきて、思わずハルは仰け反る。
そして恐る恐る保健室を覗き中を伺うと演習で怪我をしたと思われる、轟・鉄哲・骨抜がベッドで横たわっており、飯田と尾白が椅子に座って治療を待っていた。
そんなハルにリカバリーガールは気づくと声をかけた。
「帰ってきてそうそう悪いねえ。私は“治癒”するから水科はその二人の手当てをしてあげてね」
「は、はい」
「ハルくん!戻ってきてたのか」
「さっきちょうど帰ってきたところ。まずは尾白から見てくな。飯田はちょっとまってて」
「すまない……」
早速ハルは尾白の手当てを始める。
慣れた手つきで進めていくハルに二人は釘付けになっているとそれに気づいたハル
は少し照れくさそうに笑いつつ、誤魔化すように演習の話題を始めた。
「今どんな感じ?」
「5グループに別れて俺たち3グループ目が終わったところ。A組とB組それぞれ勝ち数は1ずつで俺たちは引き分け……」
「そっかそっか…おつかれさま。よっし…尾白はこれで完了な」
「早いな!ありがとうハル」
「どーいたしまして」
ニッとハルは笑う。
手当てが終わった尾白にリカバリーガールはスニッカーズを渡すと手当が終わった者から早く戻るように催促する。
そのため尾白は一足先に演習場へと戻って行った。
「じゃあ次に飯田な。左手かな……出して」
「…………!ああ。すまない」
「…………」
ぼーっと浮かない表情をしている飯田をハルは見つめる。
そして声をかけようとした瞬間、ばっとベッドから鉄哲が意識を取り戻して起き上がる。
それに驚いた二人の視線がそちらに集まる。
「
くっそー!!やられたあああ」
「こらうるさいよ」
「ふごっ」
起きて早々叫ぶ鉄哲の口にリカバリーガールはスニッカーズを突っ込む。
「ん?水科?なんでここいんだ?てか手際良いな!」
「リカバリーガールから緊急招集されて。鉄哲は身体大丈夫?」
「おうよ!」
会話を交わしている間にリカバリーガールは轟にも“治癒”を施す。
そのお陰もあって轟も意識を取り戻しばっと身体を起こした。
そんな轟に対してリカバリーガールはスニッカーズを差し出す。
「
轟!!」
「!」
「試合は引き分けだったが俺は負けたと思ってる!ヤベェ熱さだった!!またやろうぜ!!」
「うるさいよ」
リカバリーガールに怒られながらもそんなの気にする素振りも見せずに鉄哲は足早に演習場へと戻って行った。
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