◎ 繋がる思い(5/7)
「
へっくし!!」
「体調大丈夫かー?ほれティッシュ」
「ありがとうございます…」
A組B組の合同練習を抜け、プレゼントマイクの運転する車にハルは乗せてもらい病院へと向かっていた。
くしゃみをして鼻水をすするハルに対してマイクはティッシュを差し出す。
「ま!お前のことだからクラスの誰かが噂してんだろ!」
「ですかねー…」
「そういえば新しい“個性”はどうよ?イレイザーに聞いても適当にあしらわれちまってよ。“圧力”だっけ?」
「正直かなり強い“個性”です。俺が今まで出来なかったことをカバーできて……使いこなすのはちょっと時間がかかりそうなんですけど、やれること増えそうで楽しみです」
ハルの発言にマイクは目を大きく見開く。
そんな驚いた顔をするマイクにハルは疑問符を浮かべるとマイクはゆっくりと口を開いた。
「まだ発現して数日しか経ってないのにすごいなって……素直に感心したんだよ」
「……みんなの隣を歩くには少しでも努力しないと置いてかれちゃいますから」
「…………」
またマイクは目を見開き、それ気づいたハルが疑問符を浮かべるというデジャブが発生する。
だが今度はマイクはいやいやと首を振り少し苦笑いを浮かべながら続けた。
「それ他の奴にはあんま言うなよ?」
「?」
「ピンと来てない顔してんな……まあ良いか…(無自覚の天才ってのも厄介なもんだなあ…)」
そんなこんなでたわいの無い会話をしていると目的に到着する。
既にリカバリーガールが予約を取ってくれていたため、マイクと共に受付を済ませるとすぐに番が回ってきた。
「じゃあ先生。終わったらまた連絡しますね」
「おう」
手を振るマイクにハルはぺこりとお辞儀をすると看護師に連れられて検査室へと入っていった。
それからマイクは近くのカフェで時間を潰し、1時間半弱ほど経った頃にハルからの着信が来る。
それを受けて病院の待合室に行くと検査を終えたであろうハルが座って待っており、マイクは声をかけた。
「おー水科。無事に終わったか?」
「先生お待たせしてしまいすみません。この後先生から一通り説明があるみたいで同席してもらっても良いですか?」
「おう」
ハルはお礼を告げるとマイクに座るよう促す。
そして10分弱ほどすると名前を呼ばれ医者の待つ診察室へと向かう。
医者の前に横並びでハルとマイクは座り、どこか重々しい雰囲気に少しの不安を感じながらも医者の言葉を待った。
「今回の検査で水科くんは……」
「「……」」(ゴクリ)
「……まだ結果は出ないので詳しくはわからないですね」
医者の発言にがくっと二人は崩れ落ちる。
そんな二人を見てしてやったと言った表情を浮かべながら医者は笑っていた。
それを見ていた看護師は医者をきっと睨む。
「先生!毎回患者さんをおちょくるのやめて下さい!!」
「いや〜こうすれば緊張解れるでしょ?」
「(確かに緊張はなくなったけども……)」
ハルとマイクで今日受けた検査について一通り医者から説明を受ける。
あまり馴染みのない内容ということもあり、二人とも全てを理解するのは難しかったが簡単にまとめるとこうだ。
「現時点で結果がわかる項目を見る限り重大な疾患はないと思われます。詳しい結果は後日郵送しますので確認してみてください。リカバリーガールにも個別で伝えておきます」
そして無事に検査が終わり二人は病院を後にする。
「……意外とあっさりでしたね」
「まーこんなもんだろ。じゃあ帰るか」
「帰りもよろしくお願いします」
「安全運転で行くぜ!そういえばこの時間ならギリギリ演習に間に合うかもな」
「!」
マイクの発言にハルはキラキラと目を輝かせる。
それを見たマイクは小さく笑うと車のアクセルを踏んだ。
「安全運転でそこそこ急いで帰るぜえ!」
「さっすがマイクセンセー!」
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