◎ 繋がる思い(4/7)
「今回特別参加者がいます」
「しょうもない姿はあまり見せないでくれ」
知らされていなかった突然のゲストに生徒たちははしゃぐ。
二人の背後から現れた少年の姿を見るや否や、緑谷と尾白はあ、と声を漏らす。
「ヒーロー科編入を希望している普通科C組心操人使くんだ」
「あ〜〜〜〜〜〜〜!!!」
体育祭での緑谷との戦闘がみんなの印象にも残っており全員が彼のことを認知していた。
そんなみんなの事を心操はまっすぐと見つめていた。
「一言挨拶を」
「何名かは既に体育祭で接したけれど拳を交えたら友達とか…そんなスポーツマンシップを掲げられるような気持ちの良い人間じゃありません。僕はもう何十歩も出遅れてる」
この話をしている際に心操の頭にはハルと特訓をしていた日の事が浮かんでいた。
「っ!!(手も足も出ない……!)」
「!心操大丈夫か?」
「……ああ。続けてくれ」
今まで相澤と一緒に特訓をしてきて、同い歳で今後ライバルになる人物との初めての特訓は彼の記憶に鮮烈に残るものとなっていた。
圧倒的な実力差・経験差がなんて言ってられない。
自分が目指すべきはまずはそこにある。
「悪いけど必死です」
そしてもう1つ残っている言葉。
「無傷で敵の自由を奪えるのはヒーローにとって最適の“個性”だ」
「…立派なヒーローになって俺の“個性”を人の為に使いたい。この場の皆が超えるべき壁です。馴れ合うつもりはありません」
心操の固い決意に思わず皆から拍手が起こる。
「ギラついてる」
「引き締まる」
「初期ろき君を見ているようだぜ」
「そうか?」
「いいね彼」
心操の紹介も終わったところで早速訓練を始めるべく各々最終準備に取り掛かる。
きょろきょろと当たりを見渡す心操に相澤は声をかけた。
「どうした?」
「水科は────」
「あいつは今日の演習は休みだ。また機会はあるだろう」
「…………ならチャンスですね」
「?」
「あいつが休んだ分俺が先に進める。ここで少しでも差を埋めてやります」
ギラギラとした瞳を携える心操にやれやれと言いつつ、相澤少しだけ嬉しそうな表情を浮かべた。
「(水科との訓練が良い刺激になってるいるな。うかうかしてたらすぐに抜かれるぞ。水科)」
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