◎ 繋がる思い(3/7)
屋外演習場。
すっかり秋も深まり気温も下がってきていた。
季節の変化と共にみんなのコスチュームも冬仕様になっていたりとこういった所にも変化が現れていた。
各々のコスチュームの話を中心に会話に花を咲かせていた。
「かっちゃんも変えてる」
「あーーー!?文句あんなら面と向かって言えや!クソナードが」
「そのスーツ…防寒発熱機能付き?」
「…………」
緑谷の言葉を聞いた爆豪の頭にハルとのやり取りが浮かぶ。
「爆豪ってコスチューム変えないの?」
「あ゛?」
「汗腺が武器なんだろ。これから寒くなってくると汗かきにくくなるだろうから……防寒発熱機能とかつけれたら良くない?」
「…………(あいつの言う通りにするのは癪だが…実際悪くねえ。でも────)」
「汗腺が武器のかっちゃんにとってとても理にか適った変更で素晴らしいと思って」
「ほめてんじゃねーーー!!(やっぱ腹立つ!!!)」
その時、爆豪はある事に気がつき「ん?」と声を漏らす。
それに対して緑谷がどうしたのか尋ねる。
「ハル………クソ寝坊助は?」
「ハルなら午後から病院だってよ。な?」
「ああ。念の為の検査だってな」
その会話を聞いていた切島と瀬呂が答える。
他の面々もその事を知っているような口ぶりに爆豪は青筋を浮かべる。
「一生寝てろ!!」
「急なお怒り!!?」
突然の爆豪の怒りに驚く緑谷の肩に上鳴がポンと手を乗せてやれやれと首を振りながら言う。
「自分だけ知らねーのが気に食わないだけだって。ま、ハルが爆豪に言ってないというかあいつが話聞いてないだけだったけどな」
「あのかっちゃんが……!?し…信じられない……」
「バクゴーはハルのこと大好きだもんな」
「気色悪いこと言ってんじゃねえぞクソ髪……!!!」
「あっやべ(流石にいじり過ぎた)」
そんな爆豪一派のやり取りを見て信じられないと固まっている緑谷に対して大丈夫?と尾白が声をかけていた。
わいわいとA組メンバーが騒いでいる中、とある人物が呆れながら口を開く。
「おいおい。まーずいぶん弛んだ空気じゃないか。僕らを舐めているのかい?」
その声の方にA組メンバーの視線が集まる。
声の主が誰かわかった瞬間、A組を代表して切島が言った。
「お!来たなァ!!なめてねーよ!ワクワクしてんだ」
「フフ…そうかい。でも残念。波は今確実にこちらに来てるんだよ。さァA組!!!今日こそシロクロつけようか!?」
物間を先頭に1年B組メンバーも演習場に現れた。
すると物間は徐に1枚の紙を取り出すとそれをA組メンバーに自慢げに見せびらかす。
「見てよこのアンケート!文化祭でとったんだけどさァーア!A組ライブとB組超ハイクオリティ演劇、どちらが良かったか見える!?二票差で僕らの勝利だったんだよねえ!!」
「マジかよ。見てねーから何とも言えねー!!」
「(ぼくしらべ……)」
「入学時から続く君たちの悪目立ちの状況が変わりつつあるのさ!!そして今日!!AvsB!!初めて合同訓練!!僕らが───」
「黙れ」
「キュ!!」
「ものまァ!!!」
ペラペラと話す物間を黙らせるように相澤が捕縛布で物間の首を絞める。
唖然とする光景にもかかわらずその様子に突っ込むことも無く、相澤の隣にいたブラッドは話を進めた。
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