◎ 繋がる思い(2/7)
「今回の件で緑谷少年だけに起こったのならワン・フォー・オールによるものと納得ができる。だが……同じ場所で同じ記憶をハル少年が共有しているというところがひっかかる…」
「機会を逃して言えてなかったんだけど…体育祭の時にも同じような気配を感じてた。あとワン・フォー・オールと対峙して倒れてた時に夢の中で菜奈さんに会って会話をしたんだ」
「「!」」
「君の“個性”と“ワン・フォー・オール”が共鳴したのか…お陰で私もここに来れた」
「その時に菜奈さんも“譲受”と“ワン・フォー・オール”が共鳴して俺と話せたって。初代の話も考えると……この事態は俺の“個性”が起因している気がする」
「「…………」」
これが良いことなのか…正直現時点ではわからない。
緑谷に…ワン・フォー・オールにどんな影響を与えるんだろう?
夢を見たと同時に“ワン・フォー・オール”が一瞬暴走したと聞いた。
何か良くないことが起きているなら…起きてしまう可能性があるなら俺は…………。
「…………ごめん」
「!!」
「え、ええ!?なんでハルが謝るのさ!?」
「“ワン・フォー・オール”の暴走…俺と一緒にいるからかと……」
すると緑谷は困ったように眉をひそめる。
そして俯き声を少し震わせながら言った。
「それを言うならハルの不調だって……僕のせいかなって……」
「!違う違う!頭痛は前からたまにあったんだ。最近ちょっと酷いだけで────関係ないって!」
「二人ともストップストップ!」
オールマイトが俺らの間に割って入る。
「憶測だけでネガティブになるのは止めよう。君らが一緒にいることで起こったとしても…まだ大きな問題になっている訳では無い。変に意識せず今まで通り過ごすと良いさ。ハル少年は午後から病院に行くんだろ?」
「うん。念の為にってリカバリーガールは言われたけど」
「うむ。そして緑谷少年。その爆発以外に違和感は?」
「その後は特にないです」
「……ということだ!気にしすぎず今まで通りに行こう。ただ何か少しでも変化があった際はどんな些細なことだとしても必ず共有すること」
オールマイトは俺と緑谷の肩に手を乗せながら優しく笑う。
「私も詳しくわからなくてすまない。でもその力は絶対に君たちの味方だよ。これから探っていこう」
「……ありがとう。オールマイト」
「…頑張ります!」
オールマイトに言われると心強くて、なんだか大丈夫な気がしてくる。
さすが元No.1といったとこか。
「あ…あとそうだ!」
「ん?」
「オールマイトのお師匠キレイな人でした!」
「あ!俺もそれ思った!」
「だろ!」
そう言って俺たちは笑いあった。
「そろそろ行かないと」
「ハル気をつけてね。何事もないことを祈ってるよ」
「緑谷ありがとう。今日B組と演習だよな?あ〜〜俺も出たかった!!」
「もし早めに戻ってこれたら見学に来たら良いさ」
「そうだね。じゃあまた後で」
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