◎ ヒーロービルボードチャートJP(1/7)
花府事件の報道から翌日。
休憩室でオールマイト・緑谷と一緒にお茶をすすっていた。
少しずつ寒くなっていく中で温かいお茶は染みる…。
「にしても花府事件の件、事実が明るみになって本当に良かったよ」
「はい。これで後はヒロくんを探すのみ」
「ああ。だがそこが最難関と言っても過言じゃないぞ。八斎戒以降、敵連合(やつら)の動きを掴めていない……だが必ず救けよう。僕から塚内くんにも頼んどくよ」
「ありがとう。オールマイト」
オールマイトの力強い言葉に安堵する。
引退してもさすがNo.1ってとこか。
「そういえば今朝二人でリカバリーガールの“治癒”を受けたと聞いたけど一体何をしていたんだい?」
「「!(ギクッ)」」
俺と緑谷は昨日のボルイング事務所での戦闘で負った傷をリカバリーガールに“治癒”してもらいにいっていた。
その時にも怪我の理由を聞かれたけど上手く誤魔化してなんとか事なきを得た。
オールマイトにも自主練で負った傷だと説明しておいた。
この件はあまり触れられたくない反面、気になることもあったためその事をオールマイトには話すことにした。
「突然緑谷少年の身体を物凄い力で抑えた?しかもそれがハル少年の“個性”で?」
「うん」
「だが…君が譲受している個性は“温冷水”と“ドライアイス”だろう?」
「はい。なのでハルが認知していない新たな“個性”が発生したんじゃないかと思ってて───でもハルは心当たりはないんだよね?」
「ああ。“譲受”は俺の意思もないと発動しないから把握してない、ってことはないと思うんだ」
「ふむ…」
オールマイトは顎に手を当てて少し考える素振りを見せると少し自信なさげに言った。
「もし…もしもだよ。君が譲受していた個性が“温冷水”もしくは“ドライアイス”じゃないとしたらと考えるのはどうかね」
「!」
「“温冷水”は君の父・義孝の個性。これは僕も知っているから間違いないだろう」
「オールマイトそれはいくらなんでも突飛な話じゃ………」
「……いや。そんなこともないかもしれない」
俺の発言に緑谷はえ?と声を漏らす。
提案したオールマイトも予期していなかったのか驚きを隠しきれていなかった。
「実は…俺、幸の“個性”を実際に使ってるところを見たことがないんだ」
「ええ!?」
「“譲受”云々を除いても…本人に聞いたりしなかったのかい?」
「幸は昔自身の“個性”で友達を怪我させたらしくて…それ以降、自分の“個性”のことを話したくないと言ってて…思い出したくないことかと思ったから俺も追求してこなかったんだ」
「なるほど……じゃあ幸さんの“個性”が今回の事象に関わってくるかもしれないね。彼女の“個性”について知ってる人は?」
「もしかしたら父さんが知ってるかも」
昼休みが終わるまでまだ時間があったため、俺は父さんに電話をかけてみた。
すると運良く電話に出てくれて、オールマイトや緑谷にも聞こえるようにスピーカーにして経緯を説明し、幸の“個性”について尋ねた。
すると父さんは俺が幸の“個性”について知らないことが意外だったらしく驚いていた。
それについて俺が言及すると戸惑いながらも心の内を話してくれた。
《ハルの“ドライアイス”は“温冷水”と幸ちゃんの“個性”を掛け合わせたものだと思っていたんだ。まさか無意識でやっていたとは───》
「掛け合わせ?」
《幸ちゃんの個性は“圧力”だ。空気圧や水圧、風圧と……様々な圧力をコントロール出来る個性》
それを聞いて何かピンときたオールマイトは言った。
「!ドライアイスは二酸化炭素に圧力をかけて液体化したものを凍らせて出来る」
《そうそう。それで出来た粉末に水を混ぜて固形にするから上手いこと二つの“個性”を掛け合わせてるのかと思っててね」
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