◎ 彼は何故立ち続けたか(4/6)
黒い髪にエンデヴァーと同じエメラルドグリーンの瞳、ツギハギな肌が特徴の男。
敵連合の“荼毘”がエンデヴァーとホークスの前に突如現れる。
「おいおい。なんでヒーローが敵にトドメを刺さない?」
荼毘を見るのはアジトの時以来か。
その時荼毘の青い炎が三人を囲むように放たれる。
《敵連合!!荼毘です!!連合メンバーが!!炎の壁を展開しエンデヴァーらを囲い込んでおります!!》
突然の荼毘の登場にテレビ前に集まる俺たちも動揺が隠せない。
「堂々と…どういうつもりだ」
「!!」
エンデヴァーは先程の脳無との戦闘でもう動ける状態ではない。
そのためホークスが迎え撃とうとするがホークスの炎も先程エンデヴァーを支援する際に大半が燃えてしまっており厳しい状況であることは明らかであった。
何やら少しだけ会話をすると荼毘が二人に向かっていく。
「!ねえ!なにか来てる!」
「あれって───!!」
葉隠の言葉通り三人目掛けて誰かが炎の壁を飛び越えて向かってきていた。
兎のような圧倒的な跳躍力を持つヒーロー…
《ニュース見て飛んできたぜ!面白ぇ事になってんな。エンデヴァー!ホークス!てめェ敵連合だな!ぶっ飛ばす!》
「No.3 ミルコ!!」
ミルコの登場にみんなが安堵の息をこぼす。
だが荼毘も分が悪いと悟ったのか神野区で俺や爆豪にも使ってきたワープを使って逃走を図ろうとする。
荼毘の口から溢れる黒い泥のようなものに身体が包まれていくさなかエンデヴァー目掛けて叫んだ。
《また今度なNo.1ヒーローさんよ。また話せる機会が来るだろう。その時まで…
精々頑張れ!死ぬんじゃねえぞ!轟炎司!!》
「!?(なんでエンデヴァーの本名を───)」
《今話してけ!!》
ミルコが蹴りを繰り出すがギリギリのところで荼毘はワープししまい空振りで終わる。
荼毘がいなくなったのに伴いエンデヴァーたちを囲んでいた青い炎も消えていった。
《危機は…荼毘は退き…敵は…消えました…!!───っ私の声は彼らに届いておりません…》
アナウンサーの声が少しずつ震えていく。
だが力強くはっきりと次の言葉を紡いだ。
《しかし!言わせてください!!エンデヴァー!!そしてホークス!!守ってくれました!!命を賭して勝ってくれました!!新たなる頂点がそこに!私は伝えたい!!》
あそこにいるヒーローに!!
ありがとうと!!
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