◎ 彼らの日常(4/8)
おい。
聞こえるか。
俺は…………
「あいつみたいに全部救けたいんだ」
《…………》
おまえのことも見放したりしない。
《………余計なことすんな。お前に何ができんだよ。触発されたか?お前は何者にもなれねェし、何もできねえよ。夢見んのは夜だけにしとけ》
「………そうだよ。俺は無力だ」
《だったら─────》
「でもそこで立ち止まったらそれこそ何もない。可能性が1%でもあるならそこに賭けてやる。全部救いあげてやるさ」
《…馬鹿だろ。黙ってたら助けが来る。それまで大人しくしとくのが得策だろ》
「かもな。でも生憎待つのは嫌いなタチでな」
だからこの手に触れてくれよ。
伸ばしてくれるだけでもいいさ。
「ほんの少しだけで良い。俺を信じてくれるなら……そばに来いよ」
そうしたら…絶対にその腕を掴んでやる。
昔憧れたあの世界で一緒に生きていこう。
《…………っ》
「!」
《─────》
うるせえよ。
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