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 彼らの日常(1/8)



22歳の頃、現ヘルパットスターヴァー事務所を立ち上げ、ヒーロー名「ヘルパット」としてデビューを果たす。
本名は可号 佑久(かごう たすく)。

事務所の方針は事件解決、災害救助と一般的なヒーロー活動に加え、ヒーロー更生施設を運営。
特にここ数年は数多くの前科者を更生させ、ヒーローとして世の中に排出している。
そのままヘルパットスターヴァー事務所の所属になることが多く、恩人であるヘルパットへの忠誠心が高く、また元敵とは思えないほどの義勇の心で日々の活動に当たっており人々からの信頼も厚い。



「(だけど所長であるヘルパットは極度のメディア嫌い。“ヘルプ”も個性としては目立つものではないが……)」



生まれ、生い立ち、家族構成。
何一つヒットしない謎に包まれた男。
何名かのサイドキックに話を聞いても、ヘルパット本人に関する情報を持ちえる者はいなかった。

まるで俺みたいだ、と頭をかきながらホークスは小さく笑った。



「(直近の気になる行動は…各地収容所への出入り。あのタルタロスにも……。敵か、味方か、慎重に見極めろ。この選択を間違えると取り返しがつかないぞ)」



ホークスの頭に浮かぶのは敵連合と異能解放軍が合併し、超常解放戦線へ生まれ変わったあの日。
死柄木たち連合メンバーを見つめながら笑みを浮かべて手を叩くヘルパットの姿。
そしてその隣に立つ公安所属の浦山 背詞(うらやま はいし)。



「(浦山は公安の中ではそこそこの権力者……あの人が超常解放戦線に加担してるとなると警察組織もどこまで信用できるか……。二人の様子を見るに数日前とかそこらで築き上げられた関係ではなさそうだったな……)」



これらを踏まえ、ホークスにとってはヘルパットはまだ信用に値しない存在であったため、警戒しながら接していた。
だがホークスの脳裏にハルの言葉が過ぎる。




「……ヘルパットのこと信じてあげてください」

「職業体験で一緒にいてあの人は決して悪に屈する事はないって思いました。いつでも人々の笑顔を第一に考える優しい人です」




「(…………彼は何を根拠に行ってるんだか)」



ホークスは呆れたように小さく笑う。



「(だけど不思議だ。彼の言葉を信じてみようと思うなんて…どうかしてるぜ、ホークス)」







「どーも。ヘルパットです」



ニコニコと笑顔をうかべるヘルパットとは対照的に警戒を顕にし疑り深い表情で敵連合の面々はそんな彼を見ていた。
すると死柄木が口を開く。



「なんでヒーローがいる。荼毘、またお前か」

「違う。こいつは俺じゃない」

「異能解放軍に所属してたんだ。まあ、リ・デストロがあなた達にやられた今となっては超常解放戦線の一員だが────」



それを聞いてスピナーが苦々しい顔をした。



「もとは俺たちと敵対していた派閥の奴とは……」

「こんなこと言うだけ不利になるのに何が目的だ?」



野狐の問いにヘルパットは小さく笑った。



「目的?そんなものないさ。ただの挨拶挨拶。第一……俺は今の社会を作り変えたい。そこに向かうにあたって、敵連合だろうが、異能解放軍だろうが、超常解放戦線だろうが俺には関係ない」



そう言い放ったヘルパットの目には光がなかった。
そんなヘルパットを見た死柄木は口を開いた。



「で、結局なんのようだ」

「本当に挨拶だけさ。あんたらが必要とあらば力になるが…それは叶わないらしい。俺は大人しく帰るよ」

「待て」



扉に向かって歩き出そうとするヘルパットを死柄木が引き止める。
その言葉を聞くや否や、ヘルパットはピタリと足を止めてゆっくりと振り返る。



「もう少し話をしよう。ヘルパット」

「…………もちろん」





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