アトラクトライト | ナノ

 許されざる者(7/10)



※本ページでは未成年が飲酒をしている描写がありますがそのような行為を推奨する意図はなく、また原作様には一切関係ございません。ご注意ください。



「ふ〜……」



髪をバスタオルで拭きながら爆豪は浴室から現れる。
出た瞬間、ベッドの上に座ってぼーっとしているハルの姿が目に留まる。

寝てるんじゃねえか?
そう思いながら爆豪はハルの肩に手をかけた。



「おい。寝るならベッドの中で寝────」

「ん〜〜〜?」

「……は?」



振り返ったハルはニコニコと嬉しそうに笑った。
よく笑っている彼だが普段とは違い、いつもより緊張がなく表情筋がゆるみにゆるんだような気の抜けた笑顔に思わず爆豪は固まる。



「(き、気色悪ィ………)」

「あはは!変な顔してやんの」

「はア!?誰が変な顔だ!!」

「髪もぺたんこで、なんかシャワー浴びた後の犬みたい!あははっ」



ぶちっ、と爆豪の堪忍袋の緒が切れたかと思うとハルの頬を思いっきりつまみながら青筋を浮かべた。



「誰が犬だァ…?」

「いだっ……」

「……?」



血色の良い頬、潤んだ瞳。
普段と違う様子に気づいた爆豪はハル
の頬から手を離す。



「てめえ、熱あんのか?」

「?なんで」

「顔が赤え」

「ないない!目の錯覚だろ〜」

「(うっぜえ…!!!)」



少しでも心配したことに後悔しつつ、ハルは無視して髪を乾かすことに。
乾かしている最中、爆豪はスマホに届いていたエンデヴァーからのメッセージに気づく。



《冷蔵庫に入っている飲み物は好きに飲んでいい》

「(気ィ効くじゃねえか)……あ゛?」

《中には酒も入っているから気をつけるように》

「…………」



そのメッセージを見るや否や爆豪は固まる。
そしてバッとハルの方へ視線を向ける。

するとハルは楽しそうに笑ながら缶に入った飲み物を飲み続けていた。
嫌な予感がして机に置かれていた空になった缶を見てみると…“これはお酒です”と書かれた注意喚起が目に入る。



「…………」



それを見るや否や爆豪はハルの方へ一直線に向かうと手に持っていた缶をひったくる。



「あっ。なにすんだよー」

「うるせえ!」



その缶にも“これはお酒です”の注意書き。
なんなら冷蔵庫内に入っている飲み物を見てみるとほぼ全てがお酒で、ジュースは奥の方に1本だけしか置いていない始末。



「(ちゃんと中身確認してからメッセージ送れやァ……!!)」

「バクゴー。それ返してー喉乾いたー」

「知るか!これは飲むな!!」

「えー。じゃあ新しいの空けるかー」



冷蔵庫に向かうハルの目の前に爆豪は立ち塞がる。



「冷蔵庫の中にあるやつも飲むな!テメーは飲みもんもう飲むな!!」



傍から聞けば無茶苦茶な爆豪の要望に流石のハルも不満げな様子。
立ち塞がる爆豪を押しのけようと頭を前に突き進んでいき、爆豪のお腹にグリグリと頭を押し付ける形に。



「どけ〜喉乾いた〜」

「!?離れろ!!」



そんなハルの奇行に耐えきれなくなった爆豪は腕を掴んでベッドへ投げ飛ばす。
うわっ、と軽く声を上げつつ、酔っていてもヒーロー候補生といったところか、受け身をとって柔らかいマットレスの上を飛び跳ねて衝撃を吸収していく。



「(まさかこんなことになるとは……つーかこいつ短時間でどんだけ飲んでんだ!?)」



爆豪は机の上に置かれた3本の空き缶を見つけるとドン引いた。
だが喉が乾いたとまた冷蔵庫に向かおうとするハルを見つけ、このままでは堂々巡りだと悟り、酒以外に何かないか、先に冷蔵庫を開けて中身を確認する。
すると手前のポケットに2本ミネラルウォーターが入っており、それに気づくと爆豪は蓋を開けてハルの口に突っ込んだ。



「ぐふっ」

「お望みの飲みもんだ!たっぷり飲んどけ!!」

「ぐるじ……っげほっげほっ」

「(やべっ)」



むせている姿を見てさすがにまずいと察し爆豪は口からミネラルウォーターを引き抜く。
ハルは少しの間げほげほとむせたかと思うと、どうやら満足したのかベッドの上にバタンと倒れ込む。

爆豪からすればいきなり倒れ込んだように見えたため、流石に心配が先立ちハルの顔を覗き込む。
すると薄ら目を開けたハルと目が合うや否や、ハルは嬉しそうににこーっと笑った。



「どーしたバクゴー?」

「……はあ」

「んー?」



今度はミネラルウォーターをハルに差し出して言った。



「飲め。これ1本飲みきるまでは寝させねえ」

「…………」



爆豪に渡されたミネラルウォーターをじっと見たあと嬉しそうにニッコリ笑いながらありがとうと一言言いながら受け取る。
そしてそれをごくごくとすぐに飲み干すと再びベッドに倒れ込んだ。



「なんかふわふわして気持ちいい〜〜あははっ」

「掛け布団の上に乗んな!!名前の通り掛けとけ!!」



爆豪の葛藤もあってハルを布団の中に押し込むことに成功。
数十分たらずのやり取りにも関わらず疲労困憊になった爆豪は自分も歯を磨き寝る支度を終わらせて就寝することに。





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