アトラクトライト | ナノ

 許されざる者(6/10)



夜も深くなり俺たちはホテルへと向かった。
明日は特に東京での仕事は無いが、エンデヴァーからの心遣いもあってだろう。
だが問題はここから────。



「四人部屋を用意できたら良かったが空いてなくてな。二人ずつで別れて泊まってくれ。明日の9時に1階ロビーに集合するように」



そう言ってエンデヴァーは一人部屋に戻っていってしまった。
緑谷が気まずそうに恐る恐る口を開く。



「部屋どう別れる…?」

「俺は別に誰とでも良いぞ」

「だーかーらーまだ友だちだと思ってんのかア!?」

「かっちゃん!他の人もいるから!!」



まあここは無難にいきますかな…。



「ほら爆豪。いくぞー」

「っ!離しやがれ!!」

「じゃ緑谷、轟、また明日な」

「う、うん。おやすみ」

「おやすみ」



爆豪の首根っこ掴みながらエレベーターに乗り込む。
手を離した瞬間、爆豪が鬼の形相でこっちを見てきた気がしたけど……気にしないでおこう。



「おっ。結構広いな」

「フン」

「!これウェルカムスイーツって奴か!?ゼリーうまそ〜」

「汚ェ手であちこち触んな!まず手ェ洗え!!」



姑かっちゃんにしたがってとりあえず手を洗うことに。
持ってきた荷物を置いて、目に止まったのはふかふかのベッド。
こんなベッド見たら…やるしかないだろ!ベッドダイブ!!



「(うわっ。ふかふか〜)」



寮に備え付けられているものとはさすがに品質が違うのか、固すぎず柔らかすぎないマットレスが俺の体を包み込む。
こんなの…反則だろ…。



「おい、どっちから先に風呂入─────」

「………すやぁ」

「…………」



すると爆豪は容赦なく俺に向かって爆破を仕掛ける。
その衝撃に思わず飛び起きる。



「いたっ!?何すんだよ!!」

「何寝落ちしかけてんだ!その汚ねェ体で寝る前にさっさと風呂入ってこい!!」

「せめて10分だけ休憩させ───」

却下



先程のお返しと言わんばかりに爆豪は俺の首根っこを引っつかむとそのまま風呂場へ放り投げた。



数分後。



「ふぃ〜〜爆豪お先」



お風呂って不思議なもんで、入るまではあんなにめんどくさいのに入っちゃえばこんな気持ちよくて後悔することってまずないんだよな。
本当に不思議。
爆豪は既に準備を済ませていたらしく、俺が出るや否やすぐにお風呂へ向かった。

俺は備え付けられていたドライヤーで髪を乾かして、脱ぎ散らかしていた服やらを整え、爆豪がお風呂から上がるのを待った。



「……喉乾いたな」



何かないかと冷蔵庫を開けてみるといくつか缶ジュースが入っていた。



「おっ。ラッキー……ってこれ勝手に飲んで良いのか?」



よくよく周りを見てみると追加料金がかかるとのこと。
泣く泣く諦めようとした時、エンデヴァーからメッセージが届く。



《冷蔵庫に入っている飲み物は好きに飲んでいい》

「エンデヴァー優しいなあ」



エンデヴァーの好意に甘えることにして俺は一本の炭酸飲料を取り出してごくごくと飲んだ。



「?(ちょっと変な味するような気がしたけど……)」



ちょっとの違和感を感じつつもお風呂上がりの一杯は格別であっという間に俺はジュースを飲み干した。
そしてもう一本だけ、と冷蔵庫に手を伸ばす。



「…?(なんかちょっとふわふわするかも…?いや、気のせいか)」



そしてもう一本開けて俺はまた思いっきりごくごくと飲む。
エンデヴァーから来ていたもう一件のメッセージには気付かず…。





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