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 地獄の轟くん家(3/7)



現代日本最高峰の現場でのインターンが1週間経過した。
一挙手一投足が被害規模に直結するプロの世界で俺らはひたすらエンデヴァーを追いかけた。



「集中すればできることを寝ながらでも出来るようにしろ!やると決めた時には既に行動し終わってろ!!」



初日に出された“1度でもエンデヴァーを追い抜く”課題は俺たち四人はまだ達成することが出来ずにいた。
判断力、行動力、対応力、全てにおいても一級品でさすがNo.1と言わざるを得ない。



「掴めそうなところで突き放される!」

「あともうちょっとなのに!」



それでも俺たちはひたすら走り続けるしかない。



「いくぞ!!!」

「おお!!」

「「はい!!」」

「ああ」



早速次の現場へ────かと思いきや、やって来たのは立派な日本家屋の一軒家。
表札には「轟」の文字。
そんな状況に爆豪は怒りを顕にしながら叫んだ。



何でだ!!!

「でかー」

「立派ー」

「姉さんがご飯食べに来いって」

何でだ!!!

「友達を紹介して欲しいって」

今からでも言ってこい、やっぱ友達じゃなかったってよ!!

「かっちゃん……!」



暴れる爆豪を何とか落ち着かせて玄関をあけるとエプロン姿の女性が笑顔で出迎えてくれた。



「(あれ?)」

「忙しい中お越し下さってありがとうございます。初めまして、焦凍がお世話になっております。姉の冬美です!突然ごめんねえ。今日は私のわがまま聞いてもらっちゃって」

「嬉しいです!友達の家に呼ばれるなんてレアですから!ね、ハル」

「だな。ご招待ありがとうございます」

「……あら!」



冬美さんは俺の顔を見るや否や目を大きく見開く。



「もしかして……君がハルくん!?」

「は、はい」

「君が……。そう…大きくなったね!」

「???」

「姉さん、ハルのこと知ってるのか?」

「知ってるも何も昔…焦凍がまだ2歳くらいの時だったかな。ハルくんとハルくんのお母さんがうちに遊びに来たことがあったのよ」



それを聞いて俺と轟は目を大きく見開いて思わず顔を見合わせる。
互いに覚えてないよな、と言わんばかりに首を傾げた。



「生まれた病院が同じで、誕生日も1日違いだからお母さん同士で交流があったみたい。まさか高校で再会するなんて運命感じちゃうね!」

「生まれた病院一緒だったんだ」

「二人も幼なじみだったんだね」



緑谷はそう言うと笑った。
予期せぬ関係に少しくすぐったさを感じる。



「…知らなかった」

「!」

「冷がまさか千春さんと関わりがあったとは……」

「…………」



少し重々しい空気が流れそうになった時、その空気を断ち切るように冬美さんが笑顔で言った。



「玄関先でごめんね!さっ入って入って」

「夏兄も来てるんだ。靴あった」

「家族で焦凍たちの話聞きたくて」



冬美さんに先導されて入った部屋には大きな机と人数分の座布団、そして轟のお兄さんが先に座って待っていた。
机には様々な料理が並んでいて思わず唾を飲み込んだ。



「夏、焦凍たち帰ってきたよ!」

「ああ、おかえり」

「ただいま、夏兄」



すると冬美さんと同じようにお兄さんも俺を見るや否や目を見開く。
そんなお兄さんに気づいた冬美さんが俺の肩に両手を乗せながら言った。



「覚えてる?昔うちに遊びに来てたハル
くん。夏も一緒に遊んでたよね」

「あの時の…!へえ、おっきくなったなあ」

「おかげさまで…」

「さ、みんな座って。すぐに残りのお料理持ってくるね」



冬美さんに促されて俺たちも席に着く。
暴言を吐かないか見張るために奥から轟、緑谷、爆豪、俺の順で座って、各々簡単に自己紹介をした。
その間、エンデヴァーと夏雄さんが全く目を合わせなかったのを見るに関係性はあまり良くはなさそうだ。

轟は自分からそんなに喋るタイプでもないし、ここは俺が────



「俺、昔パケモンごっこするのにハマってた記憶があるんですけど…もしかしてここでもやってました?」

「あー…やってたな。俺も好きだったから一緒になりきって遊んでたかも」

「今考えたらよくわかんない遊びですよね〜」

「だな。ただ鳴き声真似て走り回ってるだけだったし」



そう言いながら夏雄さんは笑った。
そんな夏雄さんにつられて俺も笑った。
すると隣からこんなちゃちゃが……



「なんだそのくだらねえ遊び」

「いや、絶対爆豪も当時やってたらハマってた。確信」

「断言すんな。俺の何を知ってんだ」

「絶対好きそうだろ。な、緑谷」

「確かに────」

「何納得してんだあ…!?」





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