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 地獄の轟くん家(2/7)



「そういえば轟くん、点での放出、つかめてきた?」

「いや、まだだ。もう少しで掠りそうな感じだ……爆豪はどうだ?」

「俺ア、もうとっくに掠ってるわ。だから話しかけてくんなっつってんだろが」

「ワリィ」

「そういう緑谷はどう?無意識下での使用」

「僕もまだかな…もう少しで掠りそうなんだけど。ハルは?」

「俺も。考えないようにって逆に難しくて」



そういって俺はうどんをすすった。



「そういえばハルってうどん好きだよね。食堂でもよく食べてる」

「うん、温かいうどんが好き。轟とは真逆だ」

「轟くんは冷たい蕎麦だよね」

「ああ」



轟は頷きながら蕎麦を啜る。
そんな轟を見ながら俺は言った。



「本当に蕎麦好きだよな」

「おう、うめえからな」

「ここって全部のメニューを蕎麦セットにできるんだね」


緑谷の言う通り、カレー、どんぶりものなどのほかに、サンドイッチ、ピザ、ケーキなど通常あまりセットにならなそうなものにまで蕎麦をつけられるようになっていた。
うどんは限られた料理にしかつけられないのに…!

そのとき、俺らの後ろから炎のサイドキッカーズのキドウとオニマーが話しかけてきた。



「ふっふっふ、気づいたかい。すべてのメニューをそばセットにできるそのワケ、教えて
あげよう!」

「ウチのボス、エンデヴァーが、ショートくんが職業体験で事務所に来ることになってから、すべてのメニューにそばがつけられるようにしたんだよ!」



それを聞いた轟の顔がしかめられる。
インターンに来た日に、俺らの前で「親子面はやめてくれ」って言ってたもんな…。
一瞬、エンデヴァーに囚われて俺らにも心を開いていない時のような怖い顔になりかけてたけど目の前の蕎麦を見るや否や表情が和らいだ。



「蕎麦に罪はねえ」



そう言いながら一気にズゾーッとすする。
そんな様子に俺と緑谷は安堵する一方で、爆豪はやや引き気味に見ながら激辛ソースをカレーにかけた。
……あれ?爆豪のカレーってもともと激辛だったような────。



「……それに、ヒーローとしてのあいつはやっぱりすげえからな」

「!」



良い父親と認められなくても、プロヒーローとしてのエンデヴァーの実力は認めていた。
この数日、間近で見て俺達もそれを感じていた。



「おお!今の言葉、聞いたらきっと喜ぶよ!」

「あとで報告しとく!」

「やめてください」





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