アトラクトライト | ナノ

 一つ一つ(1/8)



「俺がお前たちを育ててやる」



予期せぬエンデヴァーからの申し入れに昂りを隠しきれない。
だが轟以外の俺ら三人を見たことの無いエンデヴァーは俺たちに今抱えている“課題”と“今後出来るようになりたいこと”を教えるよう言う。
まずは緑谷から答えた。



「力をコントロールして最大のパフォーマンスで動けるようにしたいです」

「自壊するほどの超パワー…だったな」

「はい」

「壊れないよう制御する方法を見つけました。でも…えーここに来てその…なんていうか…副次的な…何かこう違う形で発現するようになって…」



言葉で説明しきれず言い淀む緑谷に対してエンデヴァーは見せるよう指示を出す。
それを受けて緑谷は“黒鞭”を発動した。
インタビュー演習の時と同じように暴走しない範囲内、手からぴょろっと一本出した。



「……最大限のパフォーマンスとは?“これ”をどうしたい?」

「本来はムチのようにしなる力なんです。この力を“リスク”じゃなく“武器”にしたい。今考えているのは新技“エアフォース”の要領を取り入れることはできないか…。あ、そのエアフォースというのは風圧での遠距離攻要なんですがこれは今の身体の時容上限を超えた出力を必要とする技なんです。現状僕が負担無しに扱える出力を10~15%と仮定するとエアフォースに必要な力は20%。少しオーバーするんですこの状態では怪我こそしないものの軋むような痛みが出るので動きに支障が出ます。なので瞬間的に引き上げすぐに戻すという調整が出来るよう練習しました。この方法を今の黒鞭に転用できれば理屈上では実に使えると思ってます。
ただ元々力の調整をしながら動いているのでそこにもう一つ要素が増えるとどうにも今度は頭の許容量を超えてしまうんです。どうにかしてそれらを並行処理しながら動けるようにトレーニングはしているんですがなかなかうまくいかなくて…」(ペラペラ)

「長くて何言ってんのかわかんない!」

「自分の分析か」

「ああああウゼー!」

「どーどー」



長々と話し切る緑谷にバーニンも含めた外野からツッコミが入る。
だがエンデヴァーは顔色一つ変えずに緑谷に言った。



「つまり…活動中常に綱渡りの調整が出来るようになりたいと」

「わかったんかい。No.1は伊達じゃないね!」

「……!」



ある程度状況を知っているから緑谷の話を俺は理解出来たけどほぼ知らない状況から適切に拾い上げて理解しそれを更に言葉にするエンデヴァーに俺は正直驚いていた。
俺の知っているエンデヴァーは…周りの見ることなくただオールマイトの背中を追い続けるストイックな人。
自身の鍛錬とは異なって人に教えることに不向きだと思っていたから…。

エンデヴァーはすっと目を細めると緑谷を見直して呟いた。



「難儀な個性を抱えたな。君もこちら側の人間だったか…」

「(どちらがわ?)」

「次、貴様は?」



続いてエンデヴァーは爆豪に尋ねる。



「逆に何が出来ねーのか俺は知りに来た」

「ナマ言ってらー!」

「本心だ。クソが。“爆破”はやりてェと思ったことは何でも出来る!一つしか持ってなくても一番強くなれる。それにもうただ強ェだけじゃ強ェ奴にはなれねーってことも知った」



爆豪も本当に変わったな。
勝って救ける爆豪と救けて勝つ緑谷………二人は良いライバルだな。



「No.1を超える為に足りねーもん見つけに来た」

「…いいだろう」





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