明日晴れるかな(日常編) | ナノ

 武器チューナー(1/3)



「じゃあ、後で昔の作文を持ってツナ君の家に行くね」

「うん!」

「京子ちゃん、また後でね」



京子が沢田家に遊ぶ約束をしているのもあり、珍しく3人で帰っていた。
一旦家に帰る京子を2人は見送った。

というのも今日、学校で小学生の時の夢を班ごとに調べる課題を出されて、たまたま3人が同じ班だったため、放課後やろうと先程の約束をしていたのだ。



「ツナや京子ちゃんと一緒の班で良かった〜」

「オレも。2人がいると心強いと言うかなんと言うか……」

「でもオレは小学校行ってないからどうしようかな……」



まあ、なんとかなるかと話していると突然聞きなれない声が聞こえてきた。



「ホウ、あれが10代目の奥様になる方ですか」

「「!!」」



誰だと当たりを見渡していると声は続く。



「お美しい方ですねー!よよっ。隣にいる葵さんもお美しい方じゃないですか!10代目は相当モテるのですね」

「誰がいるーーっ!ってか何言っちゃってんの!!?」

「この声、上から聞こえてくるような――」



葵が上を見上げたのと同時にツナめがけて空から黒い何かが降ってきたのだ。
避ける間もなく大きな音を立ててツナは下敷きにされてしまい、薄らと涙を浮かべつつ突然の事で焦りを隠せない。



「ツナ!?」

「いででで!?何なの!?誰なの!?」

「はじめまして10代目。葵さん」

「「!」」



黒い何かだと思っていたらそれは黒いスーツを着た少しふくよかな体型の男性で、自身のことをボンゴレ御用達の武器チューナーのジャンニーニと名乗った。

そのジャンニーニの自己紹介が終わったと同時に先程までいなかったリボーンが突然現れて口を出す。



「お前がジャンニーイチのせがれか」

「おお、初めまして。リボーン様ですね。父がお世話になっております」

「ジャンニーイチさんの……!」

「葵も知り合いなの?」

「いや、名前しか聞いたことなくて――」



ジャンニーニは自分がツナの上に乗っていると気づいていないのか、お構いなく動き始める。
ちょうど体に食い込みツナに激しい痛みが走り叫ぶが、リボーンはそれをお構いなく話を続けた。



「武器チューナーがイタリアから出るなんざ珍しいな」

「ええ、海外に出ているファミリーの武器改造は9代目からの緊急最優先事項でございますから」

「?(緊急最優先事項…?)」

「あだだだっ!!」

「!ジャンニーニ、ツナの上から降りてもらえませんか?」



葵の言葉でやっとツナの上に乗っていることに気づいたジャンニーニは慌てて謝りながら降りていく。
やっと自由になれたツナはやれやれとため息を吐くと、ジャンニーニに言ってくれた葵に例を告げた。
そんなツナにニッと笑いながらどういたしまして葵は返す。

場は一瞬穏やかな空気に包まれるが、2人が話していた内容は物騒なもので――



「聞いているぞ最近多発しているボスやボス候補が次々と謎の暗殺をされていることへの対策なんだろ」

「さようでございます」

「それってツナが狙われている可能性も十分あるってことじゃ――」

「んな!?」



ツナのリアクションを楽しむかのようにリボーンは小さく笑うが、笑い事ではないツナは笑うなよ!と言いつつ、どうにか出来ないのかと頼むが、非常にもリボーンは出来ないとばっさり切っていく。

するとツナだけの話ではないらしくジャンニーニはもう1つ話があると告げる。



「その事件と同様。イタリアでは…葵さんの行方を追うマフィアが増えてきています」

「……!」

「それを察した9代目は何か葵さんに護身用の武器を持って頂くためにもわたくしめが来たというわけです」

「(葵が追われてる…?)」



ツナの時とは打って変わってリボーンは深刻そうに何か考え込んでしまう。
葵も眉間にしわを寄せ、不安そうな表情を浮かべた。

何も知らないツナだったが、他のみんなの様子からただ事ではないと察し、聞こうとするがそれは葵の言葉によって遮られてしまった。



「ありがとう。ジャンニーニ」

「いえいえ!とんでもございません(本当に美しい方です……!)」

「で、ジャンニーニ。葵が持つ武器は考えてきてるんだろーな」

「それがですね…………」



それっきりジャンニーニは黙り込んでしまい、辺りには沈黙が訪れる。
それを見て察したリボーンは一言。



「考えてねーんだな」

「さようです……」

「「…………」」





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