明日晴れるかな(日常編) | ナノ

 標的16 お花見(1/5)



寒かった冬が終わり桜が舞う季節に。
葵達は早朝の並盛商店街を歩いており、山本が気持ちよさそうに伸びをしながら言った。



「今日あたり、満開だな。いい花見になりそーじゃねーか」

「まだ早朝ですし、最高の場所をゲット出来ますよ!10代目」

「う…うん」



山本と獄寺の言葉通り4人は早くに集まって、お花見の場所の確保に向かっている。
綺麗な桜を見つつ、美味しいご飯を食べられるとわくわくしている葵達とは反対にツナはあまり乗り気ではなさそうな表情を浮かべる。

それは遡ること1時間ほど前のこと――
朝起きたツナと葵は1階に降りると何故か台所から毒々しい煙が漏れていた。
異変に気づいたツナは慌てて台所に駆け込むとポイズンクッキングをしているビアンキに声をかけた。



「ビアンキーっ!何作ってんだよ!!?」

「花見ら絶好の場所を取る為、陣取りになるんでしょ?望むところよ!!」

「だめだめだめ!!花見はもっと楽しい行事なんだから!!そんな血生臭い!!」

「ん?ツナどーしたんだ…?」

「あ!見てよ葵!!ビアンキがーーっ!!」



ポイズンクッキングを詰め込んだ重箱を片手に拳を握りながらやる気満々なビアンキを葵はまあまあと落ち着かせるが、どうやらビアンキの花見に対する想いは強いようで、ポイズンクッキングはダメとツナが言うと責任取って良い場所を取ってくれるのかと言った。
すると突然現れたリボーンがツナに代わって答えた。



「そーだな、ツナ行け。獄寺と山本にも連絡入れといたから頑張れよ」



少し不満そうではあったが、ポイズンクッキングで楽しい花見が台無しになるよりはマシだとしぶしぶ準備を始めた。
そんなツナに葵はニッと笑いながら言った。



「オレも着いていくよ」

「ほんと!?」

「ダメよ。葵は後から一緒に行きましょ?」

「まあまあ、ビアンキ。オレはツナを護衛するために日本に来たんだし、なるべく一緒にいないと……ね?」

「!」



そう言いながらツナに向かってウインクをした。
ビアンキはそれもそうかと少し考えた後、折れて場所取りを葵にも任せることに。

それを聞いてやった!と浮かれるツナにビアンキは一言。



「ツナ。変な場所だったら、殺すわよ」

「めちゃくちゃーーーっ!!!」

「あはは!(ビアンキもお花見楽しみなんだろうな〜)」



といったやり取りがあり今に至る。
それを思い出しツナはため息を吐くが、隣に葵がいることを思い出すと少しだけ気分が上がった。
たわいのない会話をしていると今日お花見する予定の公園にたどり着いた。

公園に着くと綺麗に咲いた桜が4人を出迎え、圧巻の景色に生唾を飲んだ。
早朝なのもあり場所取りをしている人影も少なく、ビアンキの望み通り良い場所が取れそうだ。



「綺麗だなー…」

「!お前、頭に桜ついてんぞ」

「……あ、ほんとだ。そういう獄寺もついてるぞ!」

「んな!?」

「でも本当に綺麗だね。桜も満開だし」

「だな!早速場所決めて確保するのな」

「ここは立ち入り禁止だ。この桜並木一体の花見場所は、全て占領済みだ。出てけ」



その時、背後から突然聞きなれない声が聞こえてくる。

後ろを振り向くと学ランにリーゼントの強面の男の子が立っており、あからさまに不良っぽい見た目にツナはガーンとなった。



「(不良だ〜〜っ!!)」

「ん……?(あの人、何処かで…?)」



葵はどこか見覚えがある気がして首を傾げ考え込む。
走行している間にも不良は桜並木一帯が自分達の私有地だと無茶苦茶なことを口にする。
そんな不良に獄寺は睨みを効かせ、普段温厚な山本も私有地じゃないと眉をひそめつつ訴えた。



「誰も話し合おうなんて言っちゃいねーんだよ。出てかねーとしばくぞ」

「ひいいいっ!」

「そんなの無茶苦茶ですよ!」



指の間接をボキボキと鳴らしながら威嚇する不良にツナは完全に怯えていた。
見かねた葵も声を発するが不良は一向に引く気配はない。
そんな不良に堪忍袋の緒が切れた獄寺は葵の横を通り、不良に1発蹴りを入れた。

いきなりの獄寺の行動に3人は驚きを隠せずにいたが、その間にも不良は重力に逆らうことも無く倒れてしまった。



「なっ!こいつ1発で伸びちまったぞ!?」

「獄寺!暴力はダメだって――」

「何やら騒がしいと思えば君達か」





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