明日晴れるかな(日常編) | ナノ

 繋いだ手から(1/3)



「ねーねー葵!遊んで〜!」

「*△☆○!!」



宿題をやっている葵の腕を引っ張りながらランボとイーピンは懇願する。
そこから1歩引いたところでフゥ太も遠慮しつつも遊んで欲しそうな視線を向けていた。

生憎ツナは補習でリボーンもそれについて学校に行っており、ビアンキも食材を探すとかで家におらず、唯一家にいる葵に白羽の矢が立ったという寸法だ。



「良いよ。何して遊ぼっか?」



すると3人の表情はぱあっと明るくなりランボは頭からクシャクシャになったチラシを取り出す。



「オレっちここに行きたいもんね!」

「夏の星空を知ろう――プラネタリウムか!」

「うん。前にね、テレビで星座のこととかやってたから行ってみたかったんだ」

「#☆$○!」

「へ〜オレもちょっと興味あるかも。今から準備すれば昼の上映時間にも間に合いそうだし行こうか」

「やったー!」



嬉しそうにはしゃぐ3人に思わず葵は笑みがこぼれる。
そして言葉通り出かける準備をすると1階に降りて奈々に声をかけた。



「プラネタリウム?みんなも丁度暇してたから喜ぶと思うわ!気をつけて行ってきてちょうだいね」

「はい!」

「あと、これ――ちょっとだけどね」

「!」



そういうとお小遣いをそっと葵に握らせる。
貰ったものに気づいた時にはもう自分の手の中で貰えないと断ろうとしたが奈々は良いのよと笑顔で答えるとツナには内緒ねと悪戯っぽくウインクをした。
奈々には叶わないと察し、ありがとうございますとお礼を述べると頭を下げた。



「そんな丁寧に良いのよ?私たちは家族なんだから甘えられるときには甘えてちょうだい」

「(家族……!)」



奈々からしたら自然と出た言葉なのかもしれないが、その2文字が葵にとってはやけに嬉しくて思わず小さく笑った。
そして少しだけ頬を赤く染め、少しぎこちなさはあったものや「ありがとう」と言ったのを聞いた奈々は目を見開いたかと思うと嬉しそうに笑った。



「葵兄〜準備出来た?」

「うん。待たせてごめんね」

「へへん!オレっちカバンも持って準備万端だもんね」



そう言って牛柄のポシェットを自慢げに見せびらかす。
よくよく見てみるとイーピンは赤いちょっと中華ドレスっぽい施しのされたポシェットを、フゥ太はストライプ柄のポシェットを肩からかけており、みんなよく似合っていて葵も良いなと笑顔で言った。



「でもどうしたの?」

「ママンが作ってくれたんだよ!」

「え、奈々さんすごいですね!」

「大したものじゃないのよ。昔ツー君に作った時の型紙とか残ってたからそれを使ってね」



奈々はそうだ!と何か思いつき台所へ向かう。
少しすると4本の水筒と塩分が補給できるアメを数個持って戻ってきた。



「今日も暑いから水分はしっかり取らないとね。あとこの飴は一気に食べないで汗をかいた時に1つずつ食べるのよ?」

「はーい!」

「奈々さんありがとうございます。丁度みんなのポシェットに入るサイズだから入れとこうな」

「#○%☆♪!」

「うっしっし。ランボさんの物だもんね〜」

「じゃあ行ってきますね。何かあったら連絡するので」

「気をつけてね。まあ、葵君だから心配はしてないけどね」

「またまた〜」



みんなと同じように葵もカバンに水筒と飴を入れると玄関に向かった。
扉を開けると真夏の日差しから発せられる熱気が体を包み込む。
それにみんな暑そうと口を揃えたが、ここで立ち止まっていてはプラネタリウムを見ることは出来ない。
4人はぐっと覚悟を決めると1歩踏み出した。



「「いってきまーす!」」

「いってらっしゃい」





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