◎ ツナ暗殺計画(3/5)
「!!(痛くない!?)」
ツナに当たる前に葵の蹴りが止まり、何も無いはずなのに鈍い音が漏れる。
手応えありと感じる葵に獄寺はよくやったと声をかけた。
そして次は自分の番と言わんばかりにダイナマイトを構えるが先程ジャンニーニに改造されてパーティーグッズになってしまっていることを思い出す。
葵のように身一つで戦う術を持たない獄寺は何かないかと辺りを見渡していると、ふと山本が目に止まった。
「お、おい!!」
「ん?どーしたのな?」
「オレに――キャッチボールを教えやがれ!!」
何も知らない人からすると子供が近所のお兄さんにキャッチボールを教えてもらうほっこりシチュエーションなのだが…山本は野球のことになると歯止めが利かなくなり、本気で投球してしまうのが目に見えていたツナはガーンと焦りを隠せない。
「(獄寺君何言ってんのー!?それに山本と家の中でキャッチボールなんてしたら……!?)」
「おっ。そーゆー事なら遊んでやる!」
「(獄寺何か考えでもあるのか……?)」
2つ返事の山本に獄寺はかかったと笑いつつ、ボールを手渡す。
やる気満々になっている2人にツナはどんどん青ざめていきながら呟く。
「まさか…腹いせに家を破壊するつもりじゃ…!?」
「き、きっと大丈夫だよ。……多分」
「さーこい!山本!!ここだっ!!」
2人に周りの注意が集まる中、先程葵に蹴られて倒れていた暗殺者の1人が目を覚ます。
だが蹴られたところが痛むのか顔をゆがめながら呟いた。
「ぐっ……あのガキ……!!」
まだ自分に気づいてないことを確認するとゆっくりとある人物へ近づいていった。
一方獄寺はというと、ツナの肩に乗ると山本にここだ!と声をかける。
ツナの制止を聞くことも無く山本はオーライとボールを投げるが、その時いつもからは考えられないような鋭い目付きで豪速球を放った。
ボールが当たると思ったが、葵の蹴りの時同様、自分に当たる前に何かに当たったのか鈍い音が響く。
「なっ!?(葵の時も聞こえた気がしたけど、音しなかった!?)」
「うげっ!?」
「やっぱり気のせいじゃなかったーーっ!!」
「よっしゃ!」
バチバチと音を立てながら暗殺者が姿を表す。
突然現れた知らない人にツナたちは驚きを隠せない中、獄寺はよっしゃ!と拳を握りしめた。
見事に侵入してきた暗殺者を退治し終えて一件落着…と思ったその時だった。
「はなせーー!」
「!?」
「お前ら!このガキがどうなっても良いのか!?」
「「葵!!」」
捕まえた葵の首元に先程の注射器をあてがいながら暗殺者は声を上げる。
じたばたと抵抗を図るが、小さくなった身体では余り意味を成しておらず暗殺者の腕から逃げることが出来ずにいた。
自分の不甲斐なさに葵は眉をひそめた。
「形勢逆転だな!」
「お前、卑怯だぞ!!」
「暗殺者に卑怯も糞もない!さあ、早くボンゴレ10代目、こちらに来てもらおう」
「この人たちがうわさの暗殺者ーーっ!?」
「……ツナ!オレの事はいいから、早くコイツを倒して!!」
「……っ!!」
葵か人質に取られていて身動きが取れずにいる中、今まで黙っていた京子が言葉を発した。
「小さい子に乱暴しちゃダメです!離してください!!」
「きょ、京子ちゃん!?」
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