明日晴れるかな(日常編) | ナノ

 誕生日会(3/3)



あれから1週間経って誕生日会当日に。
ハルは飾り付けを買って以降、何か手伝うと言っても葵やツナから大丈夫と言われ結局何をするのかさえもよくわからないままだった。



「(山本さんへのプレゼントも用意しておくって言ってましたし……とりあえず手土産にお菓子は買ってきましたがこれで良いのでしょうか……?)」



少しだけ不安になりつつ沢田家に向かっていると山本とばったり会う。
今回の誕生日は山本が主役で事前に準備をするから少し早めに集合して欲しいと言われており、その時間通りに来たはずなのに何故か山本とばったり会い、混乱し同時に焦りが隠せずにいた。



「あ、や、山本さん!きょ、今日は良いお日柄もですねーあははっ……」



苦しい……と思いつつ山本を見てみると、同じように驚き、慌てて取り繕う姿が――



「ほ、ほんとなのな!こ、こんな日は昼寝が気持ちいよな〜あ、あははっ」

「??」

「……?」



お互いの挙動不審な動きに疑問を感じるどころか一周まわって2人は落ち着きを取り戻した。

時間を間違えてしまったかもしれない、だとしてももう手遅れで……もしそうなら謝ろうと思いつつハルは山本と一緒にチャイムを鳴らす。
すると中からツナが2人とも入ってー!と言われたので玄関を開けると――



パーン!!



「「!?」」



開けた瞬間、鳴らされるクラッカーに2人は呆然となる。
だが次にはツナや葵、そしてリボーンたちや獄寺、京子の姿があってみんなは笑顔で言った。



「「山本!ハル!誕生日おめでとうー!!」」







「完全に騙されました……!!」



今回はそれぞれにハルは山本の、山本にはハルの誕生日会をサプライズでやると伝えておきつつ、実は2人の誕生日をお祝いするというものだった。

部屋は葵とハルが買ったもので可愛らしく華やかに飾られていた。



「オレも。三浦の誕生日祝ってやるぞー!って張り切ってたらこのザマだ」

「こんなに簡単に騙せるのはおめーら天然バカ2人くらいだっつーの」

「獄寺さん!そんな言い方ないんじゃないですか!?」

「まあまあ――」

「山本、ハル。今日はママンが腕に寄りをかけてご馳走を作ってくれたぞ」



リボーンに言われてテーブルを見てみると美味しそうな料理が一面に並んでいて思わず目を輝かせた。
だが奈々はまだ何か作っているらしく楽しみにしててねと笑った。



「でも本当に上手くいって良かったー…」

「考えたのツナ君と葵君だっけ?」

「誕生日会したいねって葵から提案もらって、そこからは2人で考えたんだ」

「さすが10代目!ま、葵も10代目ほどじゃねーが、そこそこやったんじゃねーの」

「みんなの協力あってだよ。ありがとう」



ふと壁を見てみると画用紙に武兄、ハル姉誕生日おめでとう!の文字とそれぞれの似顔絵がクレヨンで描かれていた。
それを見ているとビアンキが声をかけた。



「これ子供たちが描いたのよ」

「僕が文字を書いて、ランボが武兄をイーピンがハル姉の似顔絵を描いたんだー!」

「ランボさん頑張ったもんね!」

「よく描けてるなー。ランボ、サンキューな!」

「☆#*○$……」

「イーピンちゃんもありがとうございます!こんなにキュートに描いてもらって…ハルすごくハッピーです!」

「!」



それから奈々が作ってくれた料理をみんなで食べて、喋ったり、ゲームやトランプをしたりと普段とあまり変わらないが楽しくみんなで過ごした。
そしてある程度、料理が片付いたところで葵が台所から白い箱を持って登場した。



「ご飯を食べた後は甘いものということで――誕生ケーキ食べよう!」

「「わーい!」」



甘いものは別腹と言わんばかりに子供たちはわくわくと目を輝かせながら箱を見つめる。



「今回はケーキというか…タルトなんだけどね」

「!」

「並盛商店街人気のケーキ屋の季節限定。いちごがたくさん乗ったタルト!ちゃんとチョコプレートも描いてもらったし、ロウソクもあるよ」

「うわっ。美味そー!」

「これっていつも売り切れて無いのによく買えたね!」

「ツナと2人で並んで買ってきたんだ」

「本当に人気でびっくりしたよ。まさか開店前にあんなに列が出来ているとは……」



美味しそうなタルトにわいわいと盛り上がる中、ハルがぽつりと呟いた。



「葵さん。これ――」

「……ハルが食べたいって言ってたから。あと美味しそうでオレもちょっと気になっちゃったんだよね。あはは」

「……ありがとうございます!」



ハルはガバッと立ち上がるとバンザイをしながら言った。



「ハルは世界一幸せ者です!!!」



歳の数だけタルトに刺したロウソクに火をつけて部屋の電気を消すと、みんなでハッピーバースデーの歌を歌った。
そして歌が終わると山本とハル、一緒に息をふきかけて火を消すとおめでとうの掛け声とともに自然と拍手が起こった。

タルトは評判通りすごく美味しくて、みんな夢中になって食べきってしまうほどだったとか。



「最後に……山本、ハル。オレたちからプレゼント!」



少し照れくさそうにツナはそれぞれに綺麗にラッピングされたプレゼントを手渡す。
開けてみると山本にはリストバンド、ハルにはヘアゴムが入っていた。



「2人ともいつもつけてるものだったから良いかなーと思って」

「大丈夫。私が見立てたから変なものは入ってないはずよ」

「ツナのセンスは絶望的だったからな」

「なっ!?」



プレゼントを受け取った2人は嬉しそうに笑った。
そして山本は早速腕につけていた。



「今使ってたのが古くなってたからちょうど欲しかったんだよな。みんなありがとな!!」



そんな山本を見てハルは少し躊躇いつつも今つけていたゴムを外して、もらったヘアゴムで髪を括り直した。



「少し勿体ない気もしますが…宝の持ち腐れになる方が勿体ないですよね」

「わぁ――ハルちゃんすごく似合ってるよ!」

「本当ですか!」

「うんうん!可愛いよ!」



笑顔で褒めてくれる京子に照れつつハルはみんなに向き直る。



「みなさん、今日は本当にありがとうございました!ずっとずーっと大切にしますね!」



この誕生日は、きっと大人になってもずっとずーっと忘れないですよ。





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