◎ 標的02 体育祭(3/5)
一緒のクラスになれるかな?
一緒にご飯食べられるかな?
ツナは午後にある棒倒しのことを忘れて、葵との学校生活を想像して浮かれていた。
「ここが職員室で――」
「うんうん」
一方の葵も憧れだった学校に初めて入ったため、目をキラキラさせながら珍しそうにツナの説明を聞いていた。
そんな無邪気な葵にツナも思わず笑みがこぼれる。
「テレビとかで見たまんまだ……!みんな、セイフクっていうのを着て勉強するんだよね」
「(葵の制服姿かー…かっこいいんだろうな)」
「今から楽しみ!ツナ、案内ありがとう!」
「あはは、お礼を言われるほど大したことはしてないよ(オレも楽しみだな〜)」
「オレもだぞ」
ひょこっと教室からリボーンが顔をのぞかせる。
「どうしてお前が楽しみなんだよ!」
「そりゃー決まってるだろ。お前のファミリーを紹介できるからだ」
「さっきの子以外にもいるのか」
「まあな」
「ファミリーじゃないし!てかオレはマフィアのボスになんてならないからね!」
そう話していると少し離れたところから3人とは違う話し声が――。
「ついてくんな野球バカ!」
「ツナを探してるのはお互い様だろー」
「この声は――獄寺君と山本!」
「お、ここにいたのな!」
「10代目!探しましたよーもうすぐ借り物競争始まりますよ!」
先程ツナと話していた獄寺と黒髪で爽やかな笑顔を浮かべた山本がツナの元へと駆け寄る。
が、葵のことを認知した瞬間2人は首を傾げ、獄寺に至っては悪意丸出しで睨みをきかせながらじりじりと距離を詰める。
「おい、テメェ――10代目に気安く近づいてんじゃねーよ」
「こらこら、睨むなって。悪ぃな――あんたツナの知り合い?」
「オレは山下葵。今はツナの家に居候させてもらってて……」
そう言いながら葵は笑うと獄寺と山本は一瞬呆気に取られたような表情を浮かべる。
それに首を傾げていると、獄寺は慌てて正気を取り戻すと再度睨みを効かせながら一言。
「へ、ヘラヘラしてんじゃねーぞ!果たすぞ!」
「へ?」
「獄寺、そこまでだ」
「リボーンさん!」
リボーンはジャンプして空中でひらりと一回転すると葵の肩に着地する。
「こいつはわざわざツナを護るためにイタリアから日本に来たんだぞ」
「てことは――けっ、こいつマフィアかよ」
「へー獄寺と同じで帰国子女ってやつか」
「こんなやつと同じにすんな。オレは10代目の右腕だ!こいつは――せいぜい、肋骨ってとこだろーな!」
「何故に肋骨!?」
「お、おう……」
「葵。お前に絡んでるのが獄寺で、もう1人の黒髪は山本だ。2人ともツナのファミリーだぞ」
「だから、ファミリーじゃないって!!」
簡単に自己紹介を済ませて、次の競技を控えているツナたちは葵とリボーンと別れて集合場所へと向かう。
その途中、山本がツナに言った。
「葵って男?女?」
「え?お、男だけど――」
「口調や服装見れば分かるだろ。当たり前のこと聞くな」
「そうだけどさ、笑った時やけに……」
「やけに?」
「かわいいってか?寝言は寝てから言え」
「ん?獄寺。オレ、かわいいとは言ってねーぞ?」
ニッと意地悪な笑顔を山本は浮かべながら言う。
そんな山本に1本取られたと獄寺は怒りつつ照れながらうるせえと叫ぶ。
そんな獄寺をまーまーとツナは落ち着かせていた。
「(……確かに女の子みたいって思うことはちょいちょいあったけど――)」
ツナはぶんぶんと首を横に振る。
「うん。きっと気のせいだって――」
◇
「くっそー。あいつのせいで散々だぜ……」
先程のやり取りを思い出しイライラしながら獄寺は借り物競争の待機列に並んでいた。
「(……マフィア、か。あんな平和ボケしてるツラのヤツが――信じられねぇ……)」
葵の笑顔を思い出すや否や、獄寺はなんとも言えない気持ちに襲われて、顔を赤らめながら顔を膝に埋める。
「(何照れてんだ!気色悪ぃ!!)」
「獄寺君」
「ぬあああ!(あいつは男!男だぞ!!)」
「ご、獄寺君!大丈夫!?」
「10代目!もう戻られたんですね!さすがです!」
「え?」
「後はオレに任せてくださいっス!!」
戻ってきたツナからタスキを受け取り、獄寺はグラウンドへと走っていった。
そして借り物のお題を弾くや否や固まる。
そのお題は――帰国子女だったのだ。
「(絶妙に難易度高いな!!くっそ、オレ以外に帰国子女のやつは――姉貴!?いや、顔見たら動けなくなるし、絶対なしだ!ランボは……うるせえし、素直についてくるとは思えねぇ――)」
「あれ?獄寺君、どうしたんだろう?」
「変なお題ひいちまったのか?」
獄寺はグラウンドを見回す。
その時、リボーンと山本のやりとりを思い出す。
「こいつはわざわざツナを護るためにイタリアから日本に来たんだぞ」
「てことは――けっ、マフィアかよ」
「へー獄寺と同じで帰国子女ってやつか」それを思い出すや否や獄寺は観客席へと走る。
そして葵の姿を見つけると手を差し出しながら一言叫んだ。
「?」
「オレと一緒に来い!!」
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