◎ 誕生日会(2/3)
結果的に今回はランボには観念してもらいツナが留守番、そして葵とハルが買い出しに行くことに。
そして2人で百均のある並盛商店街に向かっているのだが、ハルはある事に気がつく。
「(ちょ、ちょっと待ってください!!これって――)」
デートなのでは!?
「(はひ!!そう思ったらなんだか緊張してきました……)」
「んー良い天気だなー…」
「暖かくて気持ち良いですよね。部活してても暑すぎないのでありがたいです」
「ハルって何部だったっけ?」
「新体操部ですよ〜」
「そうなんだ!じゃあ身体とかすごく柔らかいのか?」
「この通り――」
ハルは立ち止まったかと思うと綺麗なY字バランスを披露する。
その様子に思わずおおと歓声をあげつつ葵は手を叩いた。
それからたわいの無い会話をして店へと向かっていくが、ハルにとって憧れである葵と過ごす時間はかけがえのないもので、ずっと続けば良いのにとも思った。
「!」
商店街につくとハルは京子とよく行くケーキ屋を見つけるや否や嬉しそうに笑った。
「ここのケーキすごく美味しいんです!京子ちゃんともよく食べに来るんですよ〜」
ハルの指さす先にあるショーケースには様々な種類のケーキが並んでいて、葵も思わず唾をごくりと飲み込んだ。
「確かに美味しそう…」
「しかも季節限定のケーキもあってそれも美味しいんです!今はいちごがたーーっくさん乗ったタルトなんですが、いつも人気で……なかなか食べられないんですよね……」
「いちごタルトか……」
ふむふむと頷く葵にハルはどうしましたか?と声をかける。
だが、何も無かったかのようなんでもないと笑った。
ツナといい、葵といいどこか様子のおかしい2人にハルは少しだけ疑問を感じていた。
だが、実際は何も無くて自分が勘ぐりすぎだろうと特に気にしないことにした。
「さ、葵さん!早く行きましょう」
名残惜しそうにケーキ屋と別れを告げて葵の腕を絡めて目的地の百均へと急ぐ。
そんなハルを見て、葵はつい面白くなって笑ってしまった。
「ごめん。ハルはケーキ食べたいとか言うかなと思ってたからちょっと意外で……」
「本当は食べたいです〜!だけど、今日はハル感謝デーじゃないので我慢です!」
「ハル感謝デー?」
「ハル感謝デーは毎月第3日曜日にあって、その日は好きなだけケーキを食べても良いんです!今月は京子ちゃんと約束してるので…ここで折れる訳にはいけません!」
「そ、そうなんだ」
涙を飲みながらケーキ屋を後にして無事に目的地の百均に到着。
そしてハルの言っていた通り、部屋を飾りつけるかわいらしい装飾がたくさん売っており、そこからハルが選んでくれたものを買って帰った。
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