◎ 君の居場所(3/4)
「というワケで、こいつらがツナのファミリーの獄寺と山本だぞ」
「どーいうわけだよ!!」
翌日リボーンに連れられ並盛にある喫茶店で千李と獄寺、山本が顔合わせをすることに。
リボーンが2人を紹介すると、ボンゴレのボスになるつもりなんて毛頭ないツナはガーンとなりつつするどいツッコミをいれる。
「けっ。葵の兄貴だかなんだか知ったこっちゃねーっスよ」
「千李のアッビサーレファミリーはボンゴレの同盟ファミリーだ。規模もでけーし、これから何かと世話になる機会もあるはずだぞ。それに――そういうパイプを繋いどくのも右腕の仕事でもあるな」
「んな!?」
「10代目!任せてください!おい葵!しっかりテメーの兄貴にも言っとけよ!」
「(変わり身はえー!?)」
「お、おう?」
「ははっ。また小僧のマフィアごっこかー」
「(山本はマフィアごっこだと思ってるし!)」
個性豊かなみんなを見て千李はニッと笑う。
「獄寺がツナの右腕ってとこか」
「おうよ!オレ以外、10代目の右腕は務まらねーからな」
「(また勝手なこと言ってるーっ!)」
「ふーん…」
千李は獄寺と山本を交互に見る。
そして葵に向かって尋ねた。
「葵から見て、ツナのファミリーで1番強いのは誰だ?」
「えっ。急だな――」
ダイナマイトの扱いに長けていて中距離向きの獄寺。
生まれながらの運動能力と反射神経でこれからの伸び代が1番高い山本。
2人の戦力は五分といったところで、実際に戦ってみないとわからないというのが正直なところだった。
うーん……と悩んでいるとふいにある人物が頭をよぎる。
「ヒバリさん……?」
オレじゃねーのか!?と獄寺は眉間に皺を寄せたが、確かに雲雀の実力は頭一つ飛び抜けてるおり、お花見の時にも負かされた事を思い出すと反論できずに口を噤む。
ツナや山本は並中最恐とうたわれている雲雀の名が出てきた瞬間、確かにと納得していた。
「ふーん。そのヒバリってやつは来れないの?」
「あの人群れるの嫌いだから呼んでも来ないと思うよ」
「どうやら少しだけなら顔を出してくれるみたいだぞ」
「め、珍しい……!」
「ええ!?ヒバリさん来るの!!?」
予期せぬ返答にツナたちは驚きを隠せずにいた。
数分後、リボーンの言葉通り雲雀が姿を表すが、何故かその手にはトンファーが構えられていた。
「悪ぃな、ヒバリ」
「別に。それで赤ん坊、どれが葵の――…なるほど」
「……」
雲雀は千李を見るや否や小さく笑みを浮かべる。
方や千李も特に動じることなく小さく笑いながら雲雀を見ていた。
異様な雰囲気を醸し出す2人に周りは生唾を飲み込む中、葵が慌ててそんな2人の間に割って入る。
「ヒバリさん!こっちがオレの兄の山下千李で…イタリアに住んでるんですけど、日本に観光に来てて――」
「そういうこと。よろしくな、ヒバリ」
「ふうん…」
何故か雲雀は構えていたトンファーを下ろすと店から出ようとする。
「あれ?(戦闘狂のヒバリさんが大人しく帰るなんて珍しい……)」
「君にはわからないのかい」
「?」
「山下千李――次会ったら本気で戦ってもらうからね」
「考えとくな〜」
ヘラヘラっと笑う千李を見向きもせずに雲雀は店をあとにした。
一体なんだったんだ、とツナが見ている中、リボーン達は各々頭の中で考えていた。
「(流石ヒバリだぞ。あいつ一瞬で千李の殺気を感じとって、ひいたか)」
「(ヒバリさんと言えども一般人なのに……兄さんったら――)」
「(ちょっとビビらせとこうかと思ったけど、逆効果になっちまったなー……ヒバリか、変なやつ)」
「…ふー」
そんな時、山本がいきなり声をあげ椅子の背もたれにもたれ掛かる。
そんな様子に視線が集まる中、それを気にすることなく山本は笑いながら言った。
「なんかさっきまで息苦しくてさー…ヒバリが来てたからかな?」
「悔しいけど、野球バカ同感だ。だが、本当にヒバリのせいだけか――?」
「ふーん…」
「ん?(千李さん、やけに嬉しそう――?)」
「(まさか獄寺と山本が兄さんの殺気を感じとっていたなんて……)」
「さすがボンゴレの所属の時期右腕候補と生まれながらの殺し屋だな」
「またそんな物騒なこと言って!!」
「それに比べて……」
そう言いながらリボーンはツナに思いっきり蹴りをいれる。
「しっかりしやがれ、ダメツナが」
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