◎ 君の居場所(2/4)
「こらーランボ!いい加減お風呂入るぞ!」
「○#%$!!」
「やだやだ!ランボさんまだ葵と遊ぶもんねー!」
「またお風呂上がってから遊べるから、な?」
あれから奈々の手料理を食べて、各々夜に向けてお風呂に入ったり後片付けをしたりし始めるのだが、人が多いのもあっていつまで家の中は賑やかだった。
千李とリボーンは2人、そこから離れて家の縁側に座っていた。
「ほんとに賑やかだなー」
あははと呑気に笑いながら奈々に入れてもらったお茶を千里は飲む。
「んで、お前はどうして日本に来たんだ。千李」
「観光…つってもリボーンは欺けないよな…まあ、観光なのは半分ほんと。もう半分の理由は――」
「葵か」
バタバタとツナと共にランボやイーピンのお風呂の支度を手伝っている葵を見て千里は小さく笑う。
そしてすぐに背を向けて空を見上げながら呟いた。
「好き勝手やってたオレとは違って、あいつはちょっと特殊な環境下で育ったから、こういう生活に馴染めてるか心配だったんだよ」
自由に外出することは許されてなかった。
そのため、学校にも通ったことがなかったし、同年代の友達はほとんどいなかった。
周りは大人ばかりで自分より小さい子の面倒を見る機会もなかった。
ここでの普通は葵にとって普通ではないのだから。
「結構すぐに馴染んでたぞ。案外お前が思ってるより葵も普通の中学生なのかもな」
「!……嬉しいような寂しいような――」
「お前のシスコンは治ってねーのか。流石にそろそろ卒業しとかねーときついぞ」
「きついってなんだよ!たった1人の大事な妹だぞ――」
ぶーと膨れる千李は小さく呟いた。
「オレが護ってやんねーと…」
「……」
リボーンはすっと立ち上がると口を開く。
「明日はツナのファミリーを紹介するから楽しみにしてろよ」
「はいはいっと」
それだけ言うと飲んでいたお茶を持ち奈々に美味しかったぞと声をかけた。
そんなリボーンを横目にまた千李は空を見上げた。
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