明日晴れるかな(日常編) | ナノ

 新学期(3/4)



それからクラスの学級委員長を決めることになったのだが、ツナとロンシャンが候補としてあがり、学級委員長の座を奪い合う勝負が勃発したのだ。
嘆き弾と呼ばれる特殊弾を使い、ロンシャンが委員長に選ばれたのだが、なんとも濃い1日だったとクラスの全員が口を揃えて言うほどのインパクトだったとか。

今日は始業式とHRのみだけで、午後から授業がなかったので帰ろうとしたのだが、課題を忘れていたツナは居残りに。
そんなツナを待つためにも購買で買った牛乳を飲みながら葵は校庭の木陰に腰を下ろしていた。



「あれ?やっぱり山下ちゃんじゃ〜ん!」

「ロンシャン!」



陽気な声の主はニッコリ笑うロンシャンで、葵もそんな彼に笑い返した。
するとロンシャンは躊躇いもなく葵の隣に座ると体を伸ばしながら気持ちが良いね〜と言った。



「春は温かいから外で座ってても気持ち良いよね」

「うんうん!もしかして日向ぼっこしてたとか?」

「まあ――そうなるのかな?」

「!」



笑う葵を見つめて、ロンシャンは顔を真っ赤に染めた。

ロンシャンにはテルミという彼女がいるのだが、その彼女と一緒にいる時とは違う気持ちが湧きあがる。
桜が舞っている背景に笑顔の葵のことが、男にも関わらずなぜか可愛らしく見えたのだ。

ロンシャンはハッとして首を横に振る。



「そーいえば、マングスタさん達は?」

「えっとね〜ただ今三人で喧嘩ちゅー!だからオレは今、山下ちゃんの居る校庭に避難してきたってワケ!」

「それって放っておいて大丈夫なのか……?」

「まあ、大丈夫!だいじょ――」



その時、校内から爆発音が響き渡る。
明らかにドマゾファミリー達の喧嘩が原因ではないかと悟った葵に対して、ロンシャンは変わらずニコニコと笑ったままあいつらまた爆弾とか使ってると声を漏らした。

だが、彼らにとって日常茶飯事なのかあまり気に止めて居ない様子でロンシャンは葵をじっと見つめる。



「……???」

「でもオレ、山下ちゃんとこーして話してみたかったんだよね〜!しかも、一緒のクラスだし今のオレってチョーハッピー!!」

「そうだったんだ。そう言って貰えるとなんか嬉しいや」



そう言ってニッと笑う葵にまたロンシャンは頬を赤く染めた。



「……なんだか、山下ちゃんって本当に女の子みたいで可愛いよね!」

「!!?」



突然のロンシャンの発言に思わず葵は飲んでいた牛乳を吹き出す。
その様子に流石に驚いたロンシャンは大丈夫?と心配していたが、葵は器官に牛乳が入ってむせつつも大丈夫と言った。

そして改めてロンシャンに向き直ると弁明を始める。



「な、なわけないって!オレ、男だぞ〜あはは…」


「解ってるって、だから女の子みたいっていったじゃんか〜。やっぱり山下ちゃんって面白い!」

「(よ、よし!なんとか誤魔化せたか――)そういえば、ロンシャンにはテルミさんだっけ…?あの子が居るじゃん」


「も、もっちろ〜んオレにはテルミが居るからね!」

「2人ともすごくお似合いだと思うよ?」

「そう?オレ嬉しいや!ありがと、山下ちゃん!!」

「わっ…!?」



恐らく無意識でロンシャンは飛びかかったのだろうが、いきなりのことで対応出来なかった葵は受け止めきれずそのまま地面へと倒れ込んでしまった。



「いてて……」

「うっわ〜!ゴメン、ゴメン。オレ、はしゃぎすぎちゃったーー!」

「ううん。大丈夫だ、よ…?」



起き上がろうとした時、葵とロンシャンの目がバッチリ合う。



「??」

「……(…山下ちゃんの髪さらさらじゃん。それに目も大きくて肌も白くて……)」

「ロンシャン?」

「(近くで見るとますます可愛い……!)」



ぼっと顔を真っ赤に染めて手に口を当てるロンシャンを見てどうした!?と慌てる葵の手を徐に掴む。



「?」



いきなり掴まれてますます疑問符が頭に浮かんび、この状況をどうすれば良いのかと混乱していると聞きなれた声が聞こえてきた。



「葵とロンシャン…?って、何してるのーー!!」





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