◎ 標的02 体育祭(2/5)
「おい、葵。今ツナに話しかけてるやつ、ファミリーの1人だぞ」
「ファミリーって……まさかツナの同級生だったとは」
少し苦笑いしながらも葵は2人のやり取りを見つめる。
仲の良さそうな2人を見て、自分も馴染めるだろうかと少し不安そうな表情を浮かべていたのをリボーンは見逃さず、そんな葵に声をかけた。
「お前ならすぐ仲良くなれるだろ。心配すんな、オレもツナもいる」
「……なら頼もしいや。リボーン、ありがとう」
「葵さん!葵さん!」
ハルは嬉しそうにお茶を入れたコップを葵に差し出す。
「応援して喉が乾いたと思うので……よかったら飲んでください!」
「ハルありがとう。ちょうど喉乾いてんだ」
「は、はひ〜……」
笑いかける葵にハルは頬を赤く染める。
「そういえば葵さんもツナさんやハルと同い年ですよね。学校とかってどうするんですか?」
「学校――……」
今までの自分とはあまりにもかけ離れた存在で葵は不思議な感覚に陥る。
気づけばこんな風に学校に来て、行事ごとに参加するのも初めてだった。
そんな2人の会話に奈々が横からこう言う。
「まだ葵君には言ってなかったけど、ツナと一緒にこの並中に通ってもらう予定よ」
「!奈々さん、ほんとですか!」
身を乗り出しながら聞き返す葵に笑いながら頷く。
「(まさか――学校に通える日が来るなんて……!)」
「よかったな、葵」
「うん!奈々さん、ありがとうございます!すごく楽しみです!」
「あらあら、そんなに喜んでもらえるとこっちも嬉しくなっちゃうわ」
「葵さんの制服姿楽しみです〜」
これから自分もここに通うのか…そう思うと嬉しくて自然と葵の顔がほころぶ。
そんな時、ツナが観客席の方へ走って向かってきた。
「あらあら、ツー君どうしたの?」
「どうしたの?じゃないよー!」
「ツナ!」
「わっ!?葵どうしたの、やけに嬉しそうだけど――」
「オレも並中に通うんだって!これでツナとも同級生だな!」
「!」
葵と同じ学校に通えると知ったツナは嬉しくて顔がにやける。
それを悟られないように咄嗟に葵達に背を向けてしゃがみこんだ。
「(やばい……すっごい嬉しい……!)」
「ツナさんいいなー。ハルも葵さんとのスクールライフ送りたかったですー」
「学校では会えない分、休日は遊んだりしよう。ランボも喜ぶと思うし!」
「あ、そうだ!ツー君、次の競技まで時間あるでしょ?」
「?あるけど……」
「葵君に学校の案内してあげたらどうかしら?」
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