明日晴れるかな(日常編) | ナノ

 標的16 お花見(5/5)



額に死ぬ気の炎を宿しながら、先程とは打って変わって荒々しい様子でツナはトンファーを構える雲雀へ突っ込んでいく。
その途中にレオンを呼び、それに応えるようにリボーンはツナに向かってレオンを投げる。



「ツナ、レオンを何使う気だ……!?」



レオンは形状記憶型カメレオンで、自由自在に形を変えられる能力を持つ。
そんなレオンがあるものへと姿形を変えていくが、それ意外なもので――。



「はたき……!?」

「し…しぶい…!」



はたきに変わったレオンと雲雀のトンファーが激しくぶつかり合う。
だがはたきが振るわれる度に先のホコリをとる布状の部分がぽふぽふと雲雀の頭にあたり、なんともシュールな光景に。
それがイラッとしたのか雲雀はムッとした表情を浮かべる。



「うおお!!」

「君は変わってるね。強かったり弱かったりよくわからないから、殺してしまおう」

「ひ、ヒバリさん!?(殺すって……!!)」

「だあ!!」



その後も激しい攻防戦が続き、勝負は硬直状態に。
だが、死ぬ気モードはそこまで長くも続かず……勝負の結果が着く前にツナの額の死ぬ気の炎が消えていく。



「10代目ぇ!!?」

「ツナっ!!」

「うわあっ!!?」



死ぬ気モードではないツナと雲雀が互角に渡り合える訳もなく、振り下ろされるトンファーを最後にツナは固く目を瞑る。
だが、一向に痛みを感じず、それどころか目の前でドサッと何かが地面に崩れ落ちるような音が聞こえる。

不思議に思いつつ、目を開けると両膝を地面につける雲雀の姿が。
当の本人もそうだが、周りも何が起こったのかわからず動揺を隠せない。



「えー!?うそっ!?オレがやったの〜!?」

「ちがうぞ。ヤツの仕業だぞ」

「(ヤツ…?まさか…!)」

「おーいて」



リボーンが指さした先には先程、雲雀にボコられ桜の木を背に倒れたシャマルがいて、シャマルは頭を擦りながら体を起こす。



「ハンサムフェイスにキズがついたらどーしてくれんだい」

「(この人、自分でハンサムとか言ってるーーっ!!?)」

「葵ーーオレまだハンサムのまま?大丈夫?」

「は、ははは……」



リボーンは葵の肩に飛び移るとシャマルが雲雀に何をしたのか説明を始める。

どうやら殴られたタイミングでシャマルの攻撃技のトライデント・モスキートを発動させたのだ。
トライデント・モスキートは蚊を使って、敵に病気を移す技で、今回の雲雀にかけたのはサクラクラ病という桜に囲まれると立っていられなくなる病気らしく、それにかかった雲雀は倒れ込んでしまったというわけだ。



「………約束は約束だ。せいぜい葵と桜を楽しむがいいさ」



フラフラな足取りで場を去ろうとする雲雀の元へ葵は駆け寄る。



「大丈夫ですか!?1人だと危ないですよ」

「…………僕は負けたんだから、変な同情は止めてよね」

「でも――」



頑なに手を貸そうとする葵を拒む。
雲雀には雲雀なりのプライドがあり、敗者である自分に同情されるのは葵であろうと許せなかったのだ。
それを察した葵は貸そうとした手をしまうと笑いながら言った。



「……連絡。今度からはもうちょっと何回か入れてくださいね」

「…………すぐに出ない君が悪い」

「んな無茶苦茶な!」

「葵〜〜おじさんにお酌してよ〜〜!」



シャマルに呼ばれ葵は振り返りわかったと返事をすると早く行きなよ言わんばかりに雲雀はそっと葵の背中を押した。
それに気づいて振り返るが、既にフラフラながらも公園をした後にしようとしていたところで、不器用な雲雀の優しさに葵は小さく笑みをこぼした。





prevnext

back

×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -