◎ 標的16 お花見(3/5)
「お!なんだお前ら、好きな子の取り合いか?っか〜〜〜!お熱いこった」
「Dr.シャマル!」
木の影からシャマルは姿を表すとにやにや笑いながら獄寺と雲雀を茶化した。
手には酒瓶を持っていて、既に呑んでいるのか顔を赤くしつつも葵が痛がってるから止めてやんなと2人の手を離させた。
助かったとシャマルにお礼をしようと葵が口を開きかけた時だった。
「シャマル、ありが――」
「ん〜相変わらずかわいい顔してんな。おじさんがチューしてあげる!」
「「「「!」」」」
唇を突き出しながら葵に近づく様子を見て雲雀はピクリと眉を動かす。
一方の獄寺はなにしてんだ!と叫びつつ、いきなりの事で放心状態で立ち尽くしている葵の腕を引っ張り、慌ててシャマルから距離を取らせた。
「!獄寺!」
「オレらに近づくな!このやぶ医者!ヘンタイ!スケコマシ!!」
「まーまー。獄寺、少しは落ち着けって」
今にも飛びかかりそうな獄寺を山本は笑いながら引き止める。
「でも、どうしてシャマルがここにいるんだよ」
「オレが呼んだんだ」
声の主の方を見てみると桜にちなんだのか、花咲じいさんのコスプレをしたリボーンが桜の木の枝に座っていた。
雲雀に向かって得意げに笑いかけると、それを応えるように雲雀も会えて嬉しいよと小さく笑みを浮かべた。
「オレ達も花見がしてーんだ。どーだヒバリ、花見の場所と葵を賭けてツナが勝負すると言ってるぞ」
「なっ、何でオレの名前出してんだよー!!」
「……ダメ元で聞きますけど、ヒバリさんもご一緒するのは――」
「どうして僕が草食動物達と群れなきゃいけないの」
「ですよね……」
だがリボーンからの提案には乗り気らしく小さく笑みを浮かべながらそれを承諾した。
ルールはツナ、獄寺、山本がそれぞれヒバリとサシで戦って勝負し、膝がついた方が負けというシンプルなもの。
獄寺と山本は花見をするためにもやる気満々な様子。
一方のツナは花見はしたいものの、並盛最強の風紀委員長とケンカするとなると無傷で済むわけもないとあまり乗り気ではなかった。
そんなツナを見かねてリボーンは声をかける。
「心配すんな。その為に医者も呼んである」
「あの人女しか診ないんだろ!!」
「いや、オレは葵なら見るぞ。喜んでな!」
「(なんで喜ぶんだ?)」
「(それは葵が男装してるからでしょーーっ!)」
シャマルは雲雀に目をやるとニッと笑いながらゆっくりと近づいていく。
「おめーが暴れん坊主か」
「(シャマルとヒバリさんは初対面なのか…)」
「お前、ねーちゃんいる?」
「(初対面で聞くことじゃねぇーー!?)」
「……消えろ」
鈍い音が響いたかと思うと雲雀の癪に障ったらしく、持ち武器のトンファーで滅多打ちに――。
だがツナたちはその光景をただただ見ることしか出来なかった。
「(ってか、医者いなくなったーー!!)」
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