明日晴れるかな(日常編) | ナノ

 標的14 道場破り(4/4)



「オレたちゃ全国大会でもいいとこいっちゃう猛者なのよ。力もてあましてるっつーの?」

「よーするに趣味の破壊よ」

「4件目いきますか〜」



話の内容からして老人の言っていた道場破りがこの3人だと言うことが確定する。
道場破り達は指の間接をポキポキと鳴らしながら少しずつ近づいた。
用心棒として集められていたボクシング部員達は了平以外、イーピンとの戦いで完全に伸びてしまっており再起不能な状態になっており、期待できそうにない。

人数で言えば同数なのだが、あまり良くない状況下で了平には絶望ではない全く違う感情がふつふつと湧き上がる。



「……お、お兄さん……?(怖ぇー…)」

「貴様らは格闘家の風上にもおけん!!この笹川了平が成敗してくれる!!」



そのまま了平は道場破りへと突っ込んでいく。
たった1人なのにも関わらず2人の道場破りをどんどん押していく、が。



「笹川さん!後ろから来てます!!」

「なぬっ!?」



振り向くよりも早く竹刀が了平に向かって振り下ろされる。
鈍い音が響いたかと思うと無念と一言呟き、了平は地面に倒れ込んでしまった。



「笹川さん!?」

「んなぁっ!?リボーン、何とかしろよ!!」

「うるせーな。ちなみにオレは手助けも死ぬ気弾も撃たねーからそれを肝に銘じとけよ」

「んなーー!(死ぬ気弾撃たれないのは嬉しいけど…)」



なんやかんやと騒いでいると道場破りがツナと葵に気がつく。
明らかに自分たちと比べて体格的に小柄な2人を見てバカにしながらに笑った。



「残りはお前ら2人だな」

「どっちもひんそな体つきしてやがる!」

「どっちから先に冥土へ行く、あぁ?」

「えっと、僕らは関係な…「よし、お前からだな」ええっ!!?」



ツナめがけて3人いっぺんに襲いかかろうとする。
その光景にたまらずツナは固く目を瞑るが一向に痛みを感じない。
恐る恐る目を開けると小さな背中が目の前にあった。



「ツナ。大丈夫?」

「葵〜〜〜!!」



得意げに笑う葵にツナは助かったと言わんばかりに声をあげる。
ツナが攻撃される前に一本出ると道場破りの攻撃を素手で防いでいたのだ。
自分よりも一回りも小さい葵に攻撃を受け止められたことに道場破りは信じられないと言った表情を浮かべる。
そして受け止められたことに対してプライドが許せずキッと葵を睨みつける。

3人は一旦距離を取ると竹刀を持った1人が葵に襲いかかるがそれを軽々と避けていく。



「(大振りだな……竹刀を使っての訓練はあんまりしてないな)」

「す、すごい!!」



次に竹刀を持っていない2人が一斉に葵を挟むように殴りかかろうとする。
だが一切焦りを見せないままその2人の拳を直前まで引きつけるとギリギリの所で避ける。
すると拳は葵ではなくそれぞれの道場破りの顔にクリーンヒットし、そのまま力なく倒れていった。



「こ、こんの野郎!調子乗ってるとシバくぞ!!」

「……」



竹刀を掲げながら残った道場破りが葵へと突っ込んでいく。
また竹刀での攻撃を軽々避けると振り下ろして下に降りた竹刀を蹴り上げると、その衝撃に耐えきれず道場破りが手を離し、竹刀は宙に舞う。
それを葵がキャッチすると竹刀を道場破りに向けた。

それは目にも止まらぬ一瞬の出来事で、奪われた竹刀を向けられた道場破りは観念したかのように尻もちをついた。



「@*#$%!!」

「葵めちゃくちゃ強ぇ〜〜〜!!(あんなに軽々やっちゃうなんてかっこよ過ぎる!)」

「流石だぞ。まだまだ腕は落ちてねーようだな」

「一般人だけど手は出してないからセーフということで……あはは」



苦笑いを浮かべる葵の肩にリボーンは飛び乗ると得意げにニッと笑った。

床に倒れていた了平が意識を取り戻したのかむくっと起き上がるとなんの躊躇いもなく一直線に葵の方へと向かうと手をガシッと掴む。
突然の事で葵は驚きを隠せず目をまん丸にしながら了平を見つめる。



「葵!お前はパオパオ老師の言った通りボクシングの神童だったのだな!!あの身のこなしはただ者ではないぞ!!」

「神童なんて大袈裟な!それよりさっきのはボクシング関係ないと思うのですが……!」

「何がともあれ沢田と共にボクシング部に入るのだ!葵!」

「なんでオレも!?」



こうして葵はこの日からツナと同様、了平のボクシング部への誘導が始まったとか。

そしてイーピンが何故道場に現れたかというと、ビアンキに料理を教わろうとしたらまな板と包丁を用意するように言われたらしい。
だが、ド近眼のイーピンにとってまな板と道場の看板は同じものに見えたらしく、今に至る。


何がともあれ結果オーライという事で、事件の幕は閉じた。





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