明日晴れるかな(日常編) | ナノ

 標的14 道場破り(3/4)



予想もしていなかった人物にツナと葵は驚きを隠せない。
当の本人も知り合いを見つけると嬉しそうに笑うとぺこりと2人に向かってお辞儀をした。



「お前は沢田んちのデコピン!!」

「イーピンですよ!笹川さん」



改めて2人でイーピンに向き直ると、うちで何かあったのかとかどうしてここに来たのか尋ねると外国語でイーピンは答えたが、誰もその言葉を訳せるものがおらず頭を悩ませているとパオパオ老師が口を開いた。



「“道場の看板をいただきにきた”っていってるぞ」

「「……え!?」」

「何っ!?」

「まさか道場破りってイーピンなの〜〜〜!?」



それを聞いた部員たちはぷっと笑いながら、あの子供が?と口々に漏らす。
その中には変な髪型とイーピン自身をバカにしたような言葉も混ざっており、それを聞いたイーピンはキッと睨みを効かせた。

そんなイーピンを庇うように葵は口を開く。



「ちょっと待ってください!イーピンはそんな事する子じゃありません!」


「照れさせちゃ駄目ですよ!ば、爆発しますから!!」

「!!(そーいえば、イーピンって照れたら箇子時限超爆が……ん?)」

「?」

「極限なにを言っておるのだ、沢田!!」



箇子時限超爆を知らない人からするとツナの話は突拍子もなくて疑問符を浮かべるのも無理はない。

葵は何かに気づくと隣にいるツナに小さな声でそっと耳打ちする。



「もしかしてイーピンの箇子時限超爆で草一本も残らなかったんじゃ…?」

「なっ!!?確かにつじつまは合う……でもどーしてイーピンは道場破りなんかを…!?」

「それなんだ…イーピンにオレが知ってる限りじゃあ、道場破りをする動機がないし…」



真実が導き出せずに2人はうーんと悩んでしまう。
そんな2人を見た了平が声を上げた。



「沢田と葵の言うとおりだ、笑ってる場合ではない。子供であっても道場破りは道場破りだ!」

「ええ!?」

「ちょ、お兄さん何言ってるんですか!?」



どう会話を理解をしたのかは分からないが、2人の会話を聞いて勘違いをした了平はイーピンが犯人だと思い込んでしまう。
そんな了平の力強い言葉を聞き、先程まで笑っていた部員も気合いを入れ直し力強く頷いた。

彼らの誤解を解こうと口を開こうとしたが時すでに遅し。



「極限の力でひっとらえろっ!!」



了平の掛け声とともに部員たちは一斉にイーピンに向かって襲いかかった。



「ああっ、マジでイーピンと!?」

「笹川さん!他のみんなも落ち着いてください!!」



2人の制止も空しく部員たちはイーピンに向かって飛びかかっていくが、それを華麗な身のこなしでイーピンは避けると攻撃を繰り出し部員たちを次々と倒していく。

道場内が一気に戦場と化して、その地獄絵図にツナは頭を抱え込ながらしゃがんだ。



「ひいいい、おっぱじまった〜〜〜〜〜!!」

「なかなか面白い戦いだな。見にきてよかったぞ」

「お前は良いよね、のんきでさー!?」

「まあな」

「でも早く止めさせないと怪我人が出ちゃう――「オレっちも入れてーー」



葵の声を遮るように聞こえてきたもう1つの声。
すると何故かガハハと高笑いし、頭に飴が埋まっているランボの姿が道場内にあった。
なんで!?と驚いていると、笑っていてむせたのかランボは無視し続ける部員に向かって苦しそうに言った。



「コハッランボさんを、ケフ、無視するな!」

「何してんだよ、ランボ!!?」

「今、行ったら危ないよ!」



部員達に無視されていら立ちつつかまって欲しいの一心で戦場へと走っていくのだが、誰一人ランボに気をとめているものはおらず、呆気なく部員の1人に叩きつけられ地面へと叩きつけられてしまう始末。

大丈夫?と駆け寄ると必死で泣くのを堪えているが、頭に突き刺さっていた飴が先程の衝撃で粉々に砕けていることを認識すると大きな声で泣き始めてしまった。
葵はそんなランボを優しく抱き上げるとポケットからぶどう味の飴を取り出し笑いながら言った。



「ペロペロキャンディーほど大きくないけど…これで我慢してな?また、後で買ってあげるからさ…」

「葵ーー!!」

「よしよし」

「…………」



ギューッとランボは葵に抱きつく。
そしてリボーンの視線に気づくと良いだろと言わんばかりに思いっきりあっかんべーと挑発した。
するとレオンをハンマーに変化させると思いっきりランボの頭を殴りつけた。



「星になれ」

「ぐぴゃぁっ!!?」



悲鳴とともにランボは天井をつきぬけて空高くに飛んでいってしまった。



「何やってんだよ、リボーン!!!」

「イラッとしたからな。葵」

「ど、どうした?」

「あんまりランボばっかに構うなよ。あいつすぐに調子乗るからな。ま、オレはそんなことねーけどな」

「う、うん……?」

「(遠回しに自分にも構えって言ってるー!)」

「神妙にせんかーー!勝負あったぞ!!」



一気に了平へと視線が集まる。
するとそこには了平が片手でイーピンを押さえ込んでいた。
イーピンもじたばたと抵抗はいるものの完全に抑え込まれているため身動きが取れずにいた。



「見たか!!ボクシングは最強の拳法なのだ!!」

「#%&*@〜〜!!」

「拳法だっけ…?」

「じゃなくて…!笹川さん、イーピンを離してください!」

「なぬっ!?」

「イーピンはそんな事しませんし、そんな事する理由もありません」

「しかし、していないと言う証拠はないだろう!」

「はい。ですが…しているという証拠もありませんよ」



真っ直ぐ見つめる葵の瞳に返す言葉の見つからない了平はしぶしぶ納得するとイーピンを解放した。
自由になったイーピンは一目散に葵の元へ向かうとその勢いのまま飛びついた。

葵はイーピンの無事を確認すると良かったと安堵の息を漏らしつつ笑った。



「流石、葵だな。それに比べて…お前、何してんだ」

「なっ!?」



とりあえず一件落着……といきそうだった時、荒々しく道場の扉が開かれる。
するといかにもガラの悪そうな男が3人どすどすと道場内に入ってきた。
そして3人のうちの1人は竹刀を持ち、どこか得意げな笑みを浮かべている。



「おーおー、ザコどもがおたわむれで」

「どーもー、道場破りでーす」

「……はぁっ!?」

「なぬっ!?」





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