明日晴れるかな(日常編) | ナノ

 標的14 道場破り(2/4)



「ど、道場破り……ですか?」



先程教室で寝ていたはずなのに起きてみると全く違う場所で戸惑いつつも葵はツナと共に了平と了平が連れてきたであろう老人から話を聞いた。
町にある道場の看板が3つ道場破りによって持っていかれてしまったらしく、老人はまだ看板の持っていかれていない道場の関係者らしくどうやらその看板を守って欲しいというのが今回の話の趣旨らしい。



「今わが道場は主力組が遠征にでてましてな。用心棒をさがしていた所、笹川君率いる君達ボクシング部が手をあげてくれたわけです」

「なるほど……」

「えっと……僕達はボクシング部じゃ無いんですが……(何でオレと葵がやらなくちゃいけないんだよー…)」



用心棒するのが不満なツナとなるべく一般市民に手を挙げたくない葵は老人の話に困ったように眉をひそめた。
その2人の様子を見かねた了平は肩に手を載せると叫んだ。



「よく考えてみろ沢田、葵。これはボクシングうんぬんの次元ではない。地域の治安を守る義務は男子すべてにあるはずだ」

「は、はい……」

「………(葵、何か複雑な所……!)」

「沢田!お前の極限魂をもう一度オレに見せてくれ!!」

「そういえば、オレはともかく…なんで葵も呼ばれたんですか?(お兄さん、葵の力量を知らないはずじゃ…?)」

「オレが教えたからだぞ」

「パオパオ老師!!」



象の被り物に両手にグローブを装着したリボーンが現れた。
この姿をしている時はパオパオ老師と名乗っており、パオパオ老師と会うのが初めてだった葵は首を傾げた。



「オレはパオパオ老師だぞ。よろしくな」

「オレは山下葵です。よろしくお願いします!」



初対面だと思い込んでいる葵は丁寧にお辞儀をするとパオパオ老師が差し出す手に握手で返した。
そんな2人にツナは割って入ると葵に向かって言った。



「葵!あいつ、リボーンだから!」

「ええ!?……確かに言われてみれば――」

「何バラしてんだ。ダメツナが」



薄らと青筋を浮かべつつパオパオ老師ことリボーンはツナに蹴りをお見舞した。
だっ!?と声を漏らしながら吹っ飛ばされるツナに心配そうに葵は駆け寄った。
そんなツナにはお構い無しにリボーンは話を続ける。



「住民の安全を守るのは、マフィアの義務でもあるんだぞ。な、葵?」

「確かにそうだけど……」

「(他人事だと思ってーっ!!)」



それから了平とパオパオ老師に連れられて2人は並盛道場まで向かった。
後から合流したボクシング部の部員たちによって道場にはたくさんの用心棒が集まったのだが、主将の了平の影響を受けているのか全員情熱に溢れている熱い人物ばかりだった。
そんな部員に圧倒されたツナと葵は苦笑いを浮かべた。



「あの…本当に来るんですか?道場破り……」

「ヤツが来るのは決まって3時半なのです」

「そういえば、どんな奴なんですか?」

「それが…目撃者はみな重症のため口をきけない状態で」

「酷いことするな……」



老人の言葉を聞いて葵は目を細めた。
そして話を聞けば道場破りが去った後は草1本も残らない残らないらしく、ツナは生気を失ったような青い顔になっていた。

すると外から足音が聞こえてきて、いち早く気づいた葵がそれを周知させると周りに緊張が走る。
そして扉に向き直り、ボクシング部員拳を構えた、ツナを守るようにして葵は1歩前に出る。

そして足音が扉の前で止んだかと思うと扉が音を立てて開け放たれた。
そこに立っていたのは――



「い、イーピン!?」





prevnext

back

×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -