明日晴れるかな(日常編) | ナノ

 標的13 山本トレーニング(4/4)



「なっ!!?」

「(人影が見える……まさか敵!?)」



突然の狙撃に葵が警戒を強めたと同時にリボーンは肩にぴょんと飛び乗る。
そして得意げに笑いながら言った。



「安心しろ。オレがディーノに頼んで500メートル先から狙撃してもらってんだ」

「そっか……って、ツナ危ない!」

「へ!?」



葵はツナの腕を引っ張り自身に引き寄せたその直後、ちょうどツナがいた所に着弾したのだ。
地面からあがる煙を見ながら青ざめつつも、お礼を言うツナにどういたしましてと葵は笑った。



「500メートル先なんて葵は見えてるの?」

「うーん…ハッキリじゃないけど…」

「え、じゃあ、どうやって…?」

「えっと――まず銃声をよく聞いて方向を確認する。それで目掛けて飛んでくる銃弾を目でとらえてそれをただ避けてるだけだよ?」

「それ普通出来ないからね!!?」

「(10代目の言うとおりこれは認めざるを得ねぇ……)」

「ま、葵の身体能力は人一倍優れてるからな。ちなみに山本、これが次のトレーニングだぞ」

「オッケー!動体視力と反射神経を鍛えるんだな!」

「ついでにツナもやれよ」

「なっ?!何言ってんだよ!ってか、何で狙撃とか頼んでんの!?死んじゃうって!!」



全力で拒否するツナに対してまだ遊びだと思っている山本は付き合ってやろうぜと笑った。
山本の天然発言にツナはガーンと驚きを隠せない。

一方の葵はリボーンにこれは山本のトレーニングだと観戦するよう言われたため、それに従いリボーンを肩に乗せたまま少し離れることに。

不安が隠しきれないツナに対して、自分が望遠鏡を使って誘導するからと山本は声をかける。
だが、山本は世間一般に比べてもかなり運動神経が良いのは間違いないのだが狙撃を避ける経験なんてなく全くの初心者なわけで……やはりツナの不安は募るばかりだった。



「獄寺もぶっぱなせよ」

「えっ、またっスか?」

「リボーン。まずは狙撃だけで様子を見た方が良いような――」



心配する葵になんとも言えない気持ちが湧き上がり、獄寺はムッとした表情を浮かべる。
そして自分に言い聞かせるように山本の為だからなとダイナマイトを構えた。



「ご、獄寺!?」

「ならしょーがねーよな。悪く思うな山本、お前の為だ!」

「なっ!?」

「10代目、避けてくださいね」



その掛け声とともに着火されたダイナマイトが2人目掛けて投げ込まれた。
なんとか2人は避けたものの爆風によってツナは吹き飛ばされて倒れ込んでしまう。
そんなツナに葵は大丈夫かと心配そうに駆け寄った。



「う、うん。……って、それよりも山本!?」

「山本!大丈夫か!?」



煙で山本の姿が目視できなかったがその煙も次第に晴れていくと、徐々に辺りの景色もクリアになっていく。
そして煙の先にはリボーンが山本に銃口を向けているシーンでその場にいた全員が驚きを隠せない。



「流石だな。この爆風の中、遠方からの弾丸の弾速に慣れちまった。仕上げだ」

「もしかしてあれ、死ぬ気弾じゃ……」

「…山本の死ぬ気って、何か考えられない…(自分ですら考えられない…いや、考えたくないのに)」

「死ね、山本」



リボーンの声に続き銃声が鳴り響く。
固く目を瞑ったツナは、特に何も起こってないことに疑問を覚えつつゆっくりと目を開いた。
するとそこには刀を手に持つ山本の姿があった。

どうやらリボーンの話によるとヘッドスピードが300km/hを越えるとバットが刀に変わる「打の武器」らしい。
そして変わった刀で銃弾をはじき返し、着弾しなかったため、死ぬ気になっていないという。

説明を聞いた山本は大口を開けて笑っていた。
そんな彼の姿を見て葵も安心したのか小さく笑みを零した。



「至近距離からの弾丸の速さについていけるのは、持ち手自身の能力だけどな」

「たしかにこの重いのふり回してりゃ、バッティング向上すっかもな」

「スゲーな、山本!」

「ハハハ!ありがとな、葵」



山本は嬉しそうに笑うと葵の頭をぐしゃりと撫でた。

だが、そんな山本を面白くなさそうに見ている人物が一人……獄寺だった。



「……チッ(山本のヤツ…調子に乗りやがって……!)」



悔しそうに舌打ちをすると、悔しそうな表情を浮かべながら地面の草を引っこ抜く獄寺だった。
そんな彼を見て、ツナは書ける言葉が見つからず、ただただ苦笑いを浮べるばかりだったとか。

そして、そんな特訓を続けた山本のバッティングが向上したのは言うまでも無い。





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