◎ 標的11 未来からの来客(4/4)
「すみませんでした…!!」
場所は変わって近所の公園。
大人ランボは正座をすると葵に向かって深々と頭を下げた。
「まあまあ、顔あげてよ」
「いえ、いくら男の姿をしているとはいえ、葵さんにあのようなことーーー」
「!」
葵は一瞬大きく目を見開くと小さな声で言った。
「10年後のランボはオレが女だったこと知ってるんだ」
「え?あ!はい」
「そうなんだー…。10年後のみんなは元気にしてるの?」
「…………!!」
すぐに返事ができなかった。
温かくて優しいあなたの笑顔を見ていると、
鼻の奥が痛くなって、目頭が熱くなって……
あなたに真実を伝えるとなると、その前におそらくオレは…泣いてしまうだろう。
「げ、元気にやってますよ」
「あははっ。ならよかった!」
「……っ」
今はこう言うしかないんです。
この先の未来はきっと、あなた自身が知らなければならないのだから。
あなたならまだ白紙の未来を描いていくことができるはずだから。
「ランボも元気そうで安心した!10年経つとこんなに大きくなるのか…」
「ふふっ。やはりあなたは変わらないですね」
「成長してないってことかー?」
「違いますよ。温かい笑顔は変わらない。あなたの笑顔はファミリーみんなを照らしてますよ」
予想していなかった返答に葵は驚きながらも、頬を赤らめながらまた笑った。
「ありがとうな、大人ランボ!」
その笑顔に大人ランボはハッとなると、腹の奥から込み上げてくる熱い何かに耐えながら葵を見つめ呟く。
「……この時代のオレは、葵さんのこと護れるかな」
「ん?」
「いえーーなんでもありませんよ」
一度空を見上げると改めて大人ランボは葵を見つめる。
「くれぐれも無茶しないでください。あなたはーーー」
大人ランボが何かを言い終える前にボフンと煙が立ち込める。
そして煙が晴れた先にはいつもの幼いランボがいて、すやすやと心地良さそうに眠っていた。
「(10年バズーカって意外と入れ替わる時間短いのか…!)」
そんなランボを見て小さく笑うと葵はだきかかえる。
「…さてと、帰るかな!」
煙に包まれる前に彼がなにを言おうとしていたのかわからない。
だけど、10年後も変わらずみんなが元気でいてくれるなら、これ以上望むことなんてない。
葵は空を見上げながら小さく呟いた。
「また会えるといいな…」
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