明日晴れるかな(日常編) | ナノ

 標的11 未来からの来客(4/4)



「すみませんでした…!!」



場所は変わって近所の公園。
大人ランボは正座をすると葵に向かって深々と頭を下げた。



「まあまあ、顔あげてよ」

「いえ、いくら男の姿をしているとはいえ、葵さんにあのようなことーーー」

「!」



葵は一瞬大きく目を見開くと小さな声で言った。



「10年後のランボはオレが女だったこと知ってるんだ」

「え?あ!はい」

「そうなんだー…。10年後のみんなは元気にしてるの?」

「…………!!」



すぐに返事ができなかった。

温かくて優しいあなたの笑顔を見ていると、
鼻の奥が痛くなって、目頭が熱くなって……

あなたに真実を伝えるとなると、その前におそらくオレは…泣いてしまうだろう。



「げ、元気にやってますよ」

「あははっ。ならよかった!」

「……っ」



今はこう言うしかないんです。
この先の未来はきっと、あなた自身が知らなければならないのだから。
あなたならまだ白紙の未来を描いていくことができるはずだから。




「ランボも元気そうで安心した!10年経つとこんなに大きくなるのか…」

「ふふっ。やはりあなたは変わらないですね」

「成長してないってことかー?」

「違いますよ。温かい笑顔は変わらない。あなたの笑顔はファミリーみんなを照らしてますよ」



予想していなかった返答に葵は驚きながらも、頬を赤らめながらまた笑った。



「ありがとうな、大人ランボ!」



その笑顔に大人ランボはハッとなると、腹の奥から込み上げてくる熱い何かに耐えながら葵を見つめ呟く。



「……この時代のオレは、葵さんのこと護れるかな」

「ん?」

「いえーーなんでもありませんよ」



一度空を見上げると改めて大人ランボは葵を見つめる。



「くれぐれも無茶しないでください。あなたはーーー」



大人ランボが何かを言い終える前にボフンと煙が立ち込める。
そして煙が晴れた先にはいつもの幼いランボがいて、すやすやと心地良さそうに眠っていた。



「(10年バズーカって意外と入れ替わる時間短いのか…!)」



そんなランボを見て小さく笑うと葵はだきかかえる。



「…さてと、帰るかな!」



煙に包まれる前に彼がなにを言おうとしていたのかわからない。
だけど、10年後も変わらずみんなが元気でいてくれるなら、これ以上望むことなんてない。

葵は空を見上げながら小さく呟いた。



「また会えるといいな…」





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