明日晴れるかな(日常編) | ナノ

 標的01 ボンゴレ10代目(3/3)



沢田家に着いたら葵は早速ツナの母の奈々に挨拶をした。
非常に礼儀正しい葵に好感を持ったらしく、奈々は二つ返事で葵の居候を承諾してくれた。



「二人目の息子が出来たみたい!葵君がお兄ちゃんになるのかしら……?」

「ちょっと、恥ずかしいから変なこと言わないでよ!」

「はいはい。そういえばツー君の隣の部屋が空いていたからそこを使ってもらっても良いかしら?布団とかは出しておくからゆっくりくつろいでね」

「部屋まで用意してもらえるんですか!?居候させてもらえるだけでもありがたいのに……すみません」

「そこはすみませんじゃなくて、ありがとうの方が嬉しいかな」

「!」



葵は少しだけもじもじとするとはにかみながら言った。



「ありがとうございます……!」

「……!(破壊力やばいな……っ)」







部屋に案内されてから荷解きを終えて、隣のツナの部屋に覗かせる。
突然のことに驚きながらも葵に部屋へ入るよう勧めた。



「狭いところだがゆっくりしていけ」

「なんでリボーンが言うんだよ。オレの部屋だぞ」

「本当にありがとうな。ツナも奈々さんも良い人で安心した!久々の日本だから緊張してたんだけど――」

「元々はどこにいたの?」

「イタリア!リボーンともそこで一緒に仕事をしてたんだ。な!」

「だな。久々に会ったが元気そうで何よりだぞ、葵」

「おかげさまで」



ツナの部屋で話していると1階にいる奈々から晩ご飯が出来たと声をかけられる。
返事をして台所に向かおうとした時、ツナと葵のお腹が同時に鳴った。

一瞬の沈黙の後、キョトンとした表情で2人は顔を見合わした後笑いあった。



「すっごい……!」

「ふふっ。今日は葵君がうちでの初めての食事だから張り切ってみました〜」



机に並ぶたくさんの美味しそうな料理に葵はきらきらと目を光らせる。



「ガハハハ!ランボさんいっぱい食べちゃうもんね〜!」

「ほら、葵もこっちに座りなよ」

「うん!」



ツナに誘導された席に座るや否や、奈々は改めて今日から居候する旨と名前を他のみんなにも紹介する。
温かく受け入れてくれるみんなに葵も緊張がほぐれていった。



「ほら、葵。ママンの料理は美味しいからあなたもたくさん食べなさい」

「ビアンキありがとな!」

「おかわりまだまだあるからね〜」

「ちょ!ランボこぼしすぎ!」

「そんなことないもんね!だってランボさんだもん」

「うぜぇな、クソ牛」



賑やかで笑いが絶えない沢田家の食卓。
イタリアにいた時、たくさんのファミリーと一緒に食卓を囲んでた頃と変わらなくて、葵も最初こそ戸惑いはあったが、徐々に慣れていきみんなと同じように楽しい時間を過ごしていた。







「いっぱい食べたな〜奈々さんの料理美味しかったな……(あれが毎日食べられるなんて……幸せ者だ!)」

「葵ーお風呂おまたせ」

「はーい」



お風呂の用意を持って脱衣所に向かう時、リボーンと鉢合わせる。



「よお、どうだ。うまく日本でもやってけそうか?」

「みんな良い人ばっかりだね。安心した」

「ならよかったぞ。また他のファミリーも紹介するから楽しみにしておけ」

「うん!ありがとう」



嬉しそうに笑う葵に釣られたのかリボーンも口角を挙げた。

そして葵の持つタオルや着替えの間に挟まる布切れを見ながら言った。



「お前――やっぱり男装してるのか」

「うん。9代目の命で……理由は教えてくれなかったけど、なんとなくは――な?」

「そうか。このことはどうするんだ?」

「基本的には皆には言わない予定。だけど、ツナには……折を見て話すかも?ボスだしね」

「なるほどな。なら、オレも黙っててやるぞ」

「助かる。ありがとう」







お風呂から上がって、自分の部屋に戻った葵は火照った身体を覚ますために窓を開けて、ぼーっと並盛の街並みを眺めていた。

時折入ってくる風が気持ちよくて目を伏せる。



「(どんな感じか不安だったけど……皆良い人でこれからの生活楽しみだな――)」



9代目からの命はしっかりこなしつつ、
日本での生活を楽しんでいこう。

葵はそう決めると一言呟く。



「オレも頑張らないとな」



星が輝く夜空を見上げながら葵は小さく笑った。





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