明日晴れるかな(日常編) | ナノ

 標的01 ボンゴレ10代目(2/3)



「はあ……今日の小テストもダメダメだったな〜ついに0点のテストを10回も取っちゃったよ――」

「おいツナ。それは聞き捨てならねぇな」



沢田綱吉ことツナが放った言葉を聞いて、リボーンは思いっきりツナの頭を蹴飛ばす。
突然の事で蹴られた頭を抑えながら何するんだよ!と涙目でツナは叫んだ。



「0点取るだけでも大変なのに、それが10回とは――お前ある意味すごいな」

「う、うるさいな!」

「ま、いいだろう。今夜は徹夜でネッチョリ勉強するから覚悟しとけよ」

「なんでネッチョリを強調するんだよ!徹夜とか嫌だよ!」



リボーンから逃げるようにツナは走るが、それをリボーンが逃す訳もなく……。
キラーンと目が光ったかと思うと、逃げるなと言いながら徐ろにバズーカを取り出し発砲する。

だがツナはそれを間一髪で避けたため、無事だったが避けた玉は近くにあった電柱に当たりメキメキと嫌な音を立てながらゆっくりと傾いていく。



「お前が避けるからだぞ」

「リボーンが物騒なもん取り出すから!もし近くに人がいたりしたら――」

「いるな。近くに」

「なぁ!!?」



傾く電柱のすぐ横を葵が通りかかる。
どうやら地図を見ているせいで電柱には気づいていない様子。



「うーん……」

「ああーー!危ない!!」

「ん?」



ツナの叫び声に葵は気づき顔をあげると不思議そうな表情を浮かべる。
そんな葵に向かって上上と必死にツナは訴えかけるが、葵が上を見た時にはもう電柱が倒れてきているところで――

為す術もなく電柱は土埃を巻き上げながら地面へと折れて倒れた。
ツナはその光景を見て顔を真っ青にしながら叫ぶ。



「ちょっと!大丈夫ですか!?」

「ツナ、こういう時は逃げるが勝ちだぞ」

「んな無責任な!いや、もう逃げ出したいくらいだけど――っ」



頭を抱えながらしゃがみこみもうダメだ、と思った時、そんなツナに手を差し出される。



「大丈夫ですか……?」

「オレは大丈夫だけど、あの子が――!ってあれ!?」



手を差し出すのは先程電柱の下敷きになったと思っていた葵で、しゃがみこむツナに手を差し出しながらニッと笑った。



「急に倒れてくるから驚いたよ。さすがGiappone」

「君は大丈夫なの!?怪我とかは!!」

「これくらい大丈夫!よくある事だし」

「(よくあって良いの!?)」



ツナがガーンとなっていると、葵の肩にリボーンが飛び乗る。
いきなり初対面の人の肩に飛び乗るからツナは驚きつつも、止めろと注意するが、そんなツナはお構いなくリボーンはニッと笑う。




「ったく……(にしても……すっごくかっこいいな……獄寺君や山本とは違う中性的な感じで――)」

「?」

「(よく見たら女の子に見えなくもない……?)」

「おい、変な目で見んな。このむっつりスケベが」

「むっつり?」

「き、気にしないで!おい、リボーン!変な事言うなよ。あといい加減その人から離れろ。迷惑だろ」

「(あれ……この人――)」



葵は持っていた写真を取り出しツナと見比べる。



「あの……もしかして沢田綱吉君?」

「え――」



見知らぬ人に自分の名前を知られている状況で、葵からゆっくりと後ずさりながら何故自分の名前を知っているのか質問する。

葵はそんなツナの警戒を解いてもらえるようニッと笑うとこれまでの経緯を説明した。



「オレの名前は山下葵で、9代目の命で次期ボンゴレ10代目ボスを守護しにやってきたんだ」

「オレ、次期ボス決定なの!?」

「正式じゃねーけどな」

「さっきは突然驚かせてごめんね。まさかこんなところで偶然会えるとは思ってなくて…」



少し照れながらはにかむ葵にツナは先程感じていた警戒心が少しずつ和らいでいくのを感じた。

ボンゴレとか、10代目とか、こんなワードが出るってことは間違いなくリボーンたちと同じマフィアの関係者だと分かったけど、不思議と柔らかい雰囲気をまといながら笑う葵に対して嫌な感じはしなかった。



「瞳…綺麗ですね」

「え――あ、ありがとう……」

「何、月が綺麗ですねテンションで言ってんだ。気持ち悪いぞ」

「!う、うるさいな――」

「オレの父さんがイタリア人とのハーフで、その血を継いでいるのか瞳だけ青いんだ」



日本人の顔立ちなのに瞳だけ日本人離れした綺麗な青色で、そのアンバランスさがなんとも言えず魅力的で不思議と葵から目が離せなくなっていた。

そんなツナにリボーンはハリセンで頭を叩き、しゃきっとしろと喝を入れる。



「葵、今日からツナと一緒に住め。居候しろ」

「確かに守護するなら一緒にいた方が良いけど、さすがに迷惑だって」

「……多分大丈夫」

「!」

「うちんちリボーンとか他にもたくさん住みついてて、今更1人増えても母さんも何も言わないと思うんだよね。確か部屋も余ってたはずだし――」

「知り合ったばかりなのに良いのか?リボーンの知り合いとは言えども…」

「なんか悪い人に見えないから大丈夫かなって。もちろん嫌なら無理強いはしないからね!」

「じゃあお言葉に甘えて……これからよろしくね」



葵は深々と頭を下げたあと、ツナに笑いかける。
その笑顔を見てツナは何故かドキッとして少しだけ顔が赤らんだ。



「(なになに!?なんでオレ、男の子にときめいてるの……!?)」

「お前気持ち悪いぞ」

「おい!心読むな!」

「あはは!二人とも仲良いんだな〜」

「別に良くないよ!」

「そうだな。オレらは友達なんて対等な関係じゃねえからそこは勘違いすんなよ」

「オレ扱いって――」

「(うん……9代目の言う通り、優しそうな人だ)」



出会って数分だけど、包容力がある。
大空のような……何でも受け入れてくれる……

さすが次期ボス候補として期待されてるだけあるな…!



「(日本での生活、不安だったけど楽しみになってきた……!)」

「……フッ」

「リボーンなに笑ってんだよ」

「気のせいだぞ。ほら家まで案内しろダメツナ」

「いでっ」





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