明日晴れるかな(日常編) | ナノ

 標的08 お正月(2/5)



「…んっ」



気づけば眠っており、まだ暗い部屋の中、ツナは体を起こし眠い目を擦った。
辺りを見渡すとリボーンやビアンキ達も眠気に勝てなかったのか、コタツの中で雑魚寝している始末。
いつもだったら怒られるけど…年末年始くらい良いよなと思いながらも時計を見ると時刻は深夜2時前。

まだまだ朝まで時間があると思い寝るかどうするか悩んでボーッとしていると台所からひょこっと葵が顔を出す。



「あれ?ツナ起こしちゃった?」

「いや、目が覚めちゃって……葵はずっと起きてたの?」

「オレもさっきまで寝てたんだけど目が覚めちゃって…水飲んでたんだ」



葵はツナの目の前まで移動すると正座して小さく笑いながらいった。



「あけましておめでとう。今年もよろしくね、ツナ」

「!!」



オレの好きな笑顔と共に新年初めての挨拶をもらう。
ありきたりでささいなことかもしれないけど、すごく嬉しくて幸せを感じたような気がしたんだ。


「あけましておめでとう。こちらこそよろしくね、葵」

「うん!」

「…なんか、年が明けたって実感ないね」

「確かに!年明ける前に寝落ちしちゃったしね」

「だね」



そういって2人は笑い合った。

その時ふとツナはイタリアにいた時の葵のことが気になった。
こんな風にお正月を過ごしていたのか、どんな人たちが葵の周りにいたのか。
前に河原で話した時よりもう少し詳しく聞きたいと思ったツナは口を開く。



「そういえばさ、葵がイタリアにいた時の話とか聞きたいな」

「イタリアにいた時の話?」

「うん。河原でも聞いたけど…葵が良ければ写真とかあれば見てみたいなと思って」

「確かにあれ以来、ちゃんと話もしてないなー…。うん、良いよ!よかったら部屋来る?」

「……ええっ!!?」

「みんな寝てるから起こしちゃ悪いなと思って…」

「そ、そう言うことか……(何1人で照れてんだよ!恥ずかしい…っ)」



2人は葵の部屋に移動する。
ツナの部屋に葵が来ることはよくあったが逆はあまりなかったのと、男装しているとは言え仮にも女の子である葵の部屋に入るのでツナは緊張を隠せない。

ソワソワしているツナに気を利かせて、座って良いよと笑いながら葵は言うと、一冊アルバムを取り出し机の上に乗せる。



「よいしょっと…これ日本に行った時に寂しくないようにって兄さんがまとめてくれたんだ」

「へえー優しいお兄さんなんだね」

「そうだね。まあ…ちょっと過保護気味なところもあるんだけど…あはは」



ページをめくると初めの方は両親と兄と思われる4人の家族写真が。
葵によく似て優しそうな両親と兄の姿にツナは口元を緩める。

めくっていくうちにボンゴレにいた時の写真になっていき、その写真の中の葵は黒いスーツ姿かフード付きの服を着たものが多かった。
そしてどの写真を見ても、葵と同じ歳くらいの子とのものは見当たらず、笑っているけど大人の輪の中にいる葵の表情はどこか寂しげに思えた。



「(こうやってみると…本当に葵マフィアなんだな……いつもは普通の同い年の子にしか見えないから不思議だ…)」

「この人は……」



だけど笑いながら写真に映る人を説明してくれる葵を見て、決してボンゴレで過ごした日々が彼女にとってマイナスなものではなかったとツナは感じた。

いくつか見ていくうちにふとツナはある写真に目が止まる。
ピースしている今より幼い葵と今の自分たちと同い年くらいの金髪ポニーテールをしている女の子とのツーショット写真。
不思議と今までの写真の葵とは違って、年相応のきらきらとした笑顔を浮かべる姿がそこにはあった。



「この人は?」

「ん?…あっ、この人はね、オレの親友なんだ。名前はジェーン」

「ジェーンさん…」

「優しくて、強くて……でも怒るとちょっと怖かったかな?懐かしいなーー」



しみじみと呟く葵の姿を見て、ツナ直感した。
ジェーンはもうこの世にはいないのだと。



「ーーと、これで終わりかな?意外と数あったな…」

「そうだね。最近あんまり写真撮ってないな…」

「!なら、今から撮る?」



ニッと笑うとカメラを取り出す。



「ええ!?でも、寝起きで髪もボサボサだし…」

「駄目かー…残念」



しょぼんとなる葵を見て、なんとも言えない気持ちに襲われたツナは葵の近くに寄る。



「!」

「でもせっかくだし…」

「ありがとう、ツナ!!」



2人ともなかなか自撮りする機会もなかったため、苦戦しつつもなんとか写真を撮り終える。



「お、意外と良い感じじゃない?」

「だね。まさか自撮りがこんなに難しいとは……っ!!?」



ふと葵の方を向くと思ったより顔が近くにあり、驚き顔を赤らめながら急いで距離を取る。
写真を撮るのに必死で気づかなかったけど、撮った写真をみるとほぼゼロ距離でまたツナは顔をあからめた。
そんなツナに葵は疑問符を頭に浮かべながら首を傾げていた。



「ありがとう、ツナ!」

「……うん。これからもたくさん写真撮ろうね」





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