◎ 標的06 彼から彼女へ(2/5)
「あれ……まだツナ達来てない?」
風紀委員の用事を終わらせて教室に向かうがツナの姿はなかった。
よくよく周りを見渡してみると獄寺や山本もまだ学校に来ておらず葵は首を傾げる。
「あれ、ツナくん達まだ来てないんだね」
「京子ちゃん」
「葵君、今日は一緒じゃなかったの?」
「風紀委員の仕事があったから先に家に出たんだ。変な事件に巻き込まれてなければ良いけど――」
京子と話していると授業が始まるチャイムが鳴り響く。
だがツナ達はまだやって来ず、先生にも特に連絡が入ってないらしくサボりかと小言を漏らす。
なんとなく嫌な予感を葵は感じつつも、いつも通り何事も無く授業が始まった。
授業が終わると葵は立ち上がり教室に出ようとした所、携帯が鳴り、出てみるとリボーンからだった。
ツナ達はとりあえず大丈夫で今から学校に向かうとの事。
ほっと安堵の息を漏らす葵にリボーンはある事を頼む。
「少し授業を抜けてもらうことになるが、よろしくな」
「うん。わかった」
◇
「はあーーやっとたどり着いた……」
お昼ギリギリにツナ達3人は登校した。
そんなツナに気づいた京子は話しかける。
「ツナ君、おはよう――ってもうお昼だね」
「京子ちゃん!」
「今日は一緒じゃなかったんだね」
「珍しいわね。あんた達セットのイメージだったから」
「おい、黒川!10代目の右腕はあいつじゃなくてオレだ!」
「あはは!またマフィアごっこってやつか〜」
「そういえば葵は――」
教室を見渡しても葵の姿が見えない。
「確か、保健室だったかな?体調悪いのかな…」
「いやいや、別に元気そうだったじゃない。サボりじゃないの?」
「そういえば……リボーンさんがシャマルに用事があるから葵に任せたとかなんとか」
「大丈夫かな――」
◇
「……失礼しまーす」
「お、きたきた。久々じゃないの、葵ちゅわ〜ん」
葵が保健室に入るや否や飛びつくシャマル。
そんなシャマルに苦笑いを浮かべながらもゆっくりと離れていく。
「まさかシャマルが並中の保健医してるとは思わなかったよ」
「まあ成り行きだ」
「先生になっても女しか見ない〜とか言ってるんじゃないの?」
「あたりめーだろ。野郎なんて見てもなんも楽しくねぇ」
イタリアにいた時と変わりないシャマルに呆れたような安心したような気持ちに襲われながらも近くの椅子に腰をかける。
「リボーンからおつかい頼まれたんだけど――」
「……ああ。あれね」
「多分……それかな?」
「何かは聞いてないのか。ま、いーや。でもまだ出来てないからもうちょい時間かかるぞ」
「そっか。じゃあ帰りにでも取りに来るね」
そう言って椅子から立ち上がろうとした時、葵の腕をガシッと掴む。
何事かとシャマルを見つめるとニッと笑いながら言った。
「せっかく久々に会ったんだ。少しくらいおじさんに構ってくれよ〜葵ちゃん」
「……まあ、それもそうだな」
シャマルの押しに負けた葵は椅子に座り直す。
そんな様子をシャマルは満足気に見ていた。
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