明日晴れるかな(日常編) | ナノ

 標的05 跳ね馬ディーノ(1/3)



「はぁーー……ヒバリさん人使い荒過ぎる……」



風紀委員に入ってからしばらくは呼び出しもなく普通の日常を送っていたのだが、今日初めて呼び出され風紀委員としての業務を手伝っていた。
葵は他の風紀委員の様に見回りをするのではなく、ヒバリと書類作業をしていたのだが、出てくる出てくる書類の数々。

気づけば空が夕焼け色に染まっていた。



「ん……?(なんだあれ)」



家に近づくにつれて増えるスーツ姿の強面の人達。
異様な雰囲気やなりから自分と同業だと察して、すぐに動けるように警戒しながら家に向かう。

だが――



「お、葵じゃねーか」

「!ロマーリオさん!てことは――」

「うちのボスがボンゴレに会いたいってことでお邪魔してんだ」

「そうだったんですね。マフィアっぽい人がたくさんいたから警戒しちゃいましたよ」

「ははっ!悪い悪い」



今話しているロマーリオはイタリアにいた時に交流のあったキャバッローネファミリーの一員で、よく見れば他にも知っている顔がちらほら。
葵は再会を喜ぶようにニッと笑うとそんな葵の頭をロマーリオはポンポンとなでる。



「本当に髪の毛ばっさり切ったんだな」

「似合ってますかね?」

「似合ってるちゃー似合ってるが……個人的には女は肩に髪が着くぐらいが好きだけどな。ま、何がともあれ良い女になったじゃねーか、葵」

「!!」



突然褒められて葵は顔を真っ赤に染めて、頬に手を当てる。



「そ、そんなこと言われたこと無かった――あ、男装してるからか……?」

「ははは!本当に可愛いやつだな!ボスが気に入るのも無理ない」



そういうとロマーリオだけでなく周りのマフィア達も笑う。



「そういえばディーノさんは?」

「ボスなら中だぜ。葵の顔見たらきっと喜ぶと思うから会いに行ってくれ」

「そんな大袈裟な……」



葵は苦笑いを浮かべながら沢田家へと入っていく。
その様子をキャバッローネファミリー達は優しい表情で見守っていた。

奈々達にただいまと言ってから、階段を上がろうとした時、ツナの部屋から賑やかな声が聞こえてくる。
それに小さく笑みをこぼして、とりあえず自室に行き学校カバンを置いてからツナの部屋に向かう。



コンコン



「ツナー入っても良い?」

「う、うん!」



扉を開けてディーノと目が合うや否や、ディーノは立ち上がると笑いながら葵に飛びつく。



「うわっ!?」

「久しぶりだな!元気にしてたか?」

「う、うん。ディーノさんも元気そうで何より――」

「おい、へなちょこ」



カチャと言う音ともにディーノの背中にリボーンは銃口を向けながらゆっくりと言う。



「早く離れろ。頭ぶち抜くぞ」

「(リボーン怒ってるー!!)」

「リボーンもそう言ってるし、1回離れよ?な?」



悪い悪いと謝りながらディーノは離れるとリボーンは拳銃を懐にしまい思いっきりディーノを蹴飛ばす。
そして床に倒れ込んだディーノの胸ぐらを掴んで起こすと耳元で囁く。



「まだツナには伝えてないんだ。バレたらどう責任取るつもりだ、このダメ弟子が」

「!そうだったのか――」

「?」

「葵、悪かったな急に飛びかかって…」

「別に大丈夫だよ」



そう言いながらニッと笑うとディーノはその笑顔を見た途端、顔を真っ赤にする。
そんな様子に葵とツナは首を傾げた。



「(やべぇ……男装中と言えども前あった時よりも更に良い女になってやがる……これじゃロリコンじゃねーか……!)」

「変な事妄想すんな。ムッツリ2号が」

「お、おい!読心術使うなよ!」

「ちなみに1号はツナだぞ。念願の1番だな、喜べ」

「ちっとも嬉しくねーよ!!」



そんな3人のやり取りを微笑ましげに見ていたが、ふと疑問に思っていたことをディーノに問いかける。



「日本にはツナには会いに来ただけ?」

「んー野暮用だな」

「野暮用?」

「まぁ仕事だ、そのついでに葵とボンゴレ小僧のツナだっけな?まぁ二人の顔を見に来たわけだ」

「なるほど――」



リボーンはディーノに今日はここに泊まっていけと提案する。
だが家の前で待たせているたくさんの部下たちがここに泊まれないのを気にして、ディーノは眉をへにょっと曲げながら親指で外を指さした。



「部下は帰していいぞ」

「おいっ!お前何勝手に決めてんだよ!!」



窓の外の部下とディーノが悪態を着きながらリボーンの提案を承知し、ツナの言葉も虚しくディーノは今日泊まることとなった。



「(相変わらず部下のみんなとも仲良いな)」

「ということで――よろしくな!ボンゴレ、葵」

「は、はぁ……」



ツナは明るく気さくに接するディーノに対して好意は持っているものの、マフィアであると考えた時、出来れば関わりたくない存在でもあり――嬉しいようななんとも言えないような複雑な気持ちを抱えていた。

そんなツナを察してか、葵はニッと笑いかける。



「ディーノさんってお兄さんみたいだよね。今は部下のみんなもいないわけだし――マフィアとか関係なく仲良くなれたら良いよな!」

「!……うん。そうだよね!」

「うんうん」

「そういえば風紀委員どうだったの!?ヒバリさんから無茶振りとかされなかった?」

「書類作業してたんだけど、全然終わんないの!なのにヒバリさんは手伝ってくれなくて――」

「ははっ、なんかヒバリさんらしいや」



和やかに話をしている2人を見てディーノは小さく笑みをこぼす。



「なんか良い雰囲気だな、あの2人」

「なんやかんやで気が合うみてーだな」

「なるほどね……」



ディーノはツナの様子を観察しているとため息をこぼした。



「(……どう見ても葵に好意ありありだな。だけど、ツナは女だって知らないのか――皮肉なもんだ)」

「オレはお前の体質の方が皮肉に思うぞ」

「!!だ、だから読心術使って俺の心を読むなッ!!!」





prevnext

back

×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -