◎ 標的04 チャイニーズ・チャイルド(2/2)
翌日の学校お昼休み。
いつものように屋上で昼食を取ろうと向かっていた時、葵は教室にお茶を忘れていたことに気づき取りに戻ることに。
一緒に向かっていたツナには先に向かっててもらい、自分も教室で水筒を回収して向かおうとした時、後から向かうと言っていた獄寺と鉢合わせる。
「お前、10代目と一緒に先に行ってんじゃ――」
「忘れ物しちゃってさ。一緒に行こうぜ」
「ったく、マヌケだな」
ふと獄寺が持っているパンに目がいく。
「獄寺、それって?」
「あぁこれか。購買の新作品ソーメンパンだ10代目と一緒に食べようと思ってな」
「斬新だね……」
「欲しいっつってもやらねーけどな」
「別に奈々さんの弁当があるから大丈夫だもんね」
たわいの無い会話をしていると屋上へたどり着くが、何やら向こう側が騒がしい。
それをお構い無しに獄寺は扉を開けて笑顔で言った。
「10代目、購買の新作品ソーメンパン、一緒にどうスか?」
「あれ?」
だが何故かソーメンパンではなく、イーピンが獄寺の腕の中にいた。
何があったか理解する前にツナが慌ててイーピンを投げるように言った。
「って、イーピン!!?」
「えっ、ああ――」
「なんでオレに渡すんだよ!!!」
「ツナ、何があったんだ――」
「えっとね、この額にあるのが0になると爆発するんだよ!!あぁ後、3箇!!?」
「爆発!?」
イーピンの額に麻雀の絵柄のようなものが浮かび上がっていて、それがカウントになっているらしく、そのカウントが無くなると爆発するようだ。
獄寺から戻ってきたイーピンをツナは思いっきりフェンスに投げつけて一件落着――と思いきや。
「パース!」
「リボーンッ!!」
体操服を着たリボーンのトスによって再びツナの手元へ。
そうしている内にも額のカウントはどんどん減っていく。
まさに絶体絶命――と思った時、屋上の扉が開き山本が現れる。
「よーツナ。またオレとお前補習だってよ」
「山本ぉ!!!」
そんな山本にツナはイーピンを投げる。
「なんじゃこりゃ?」
「いいから山本!思いっきり投げてーーーっ!!」
状況が読み込めないまま、山本はイーピンを投げようとする。
その時、野球部の血が騒いだのか普段の顔つきとは違い、眉間に寄せながら鋭い眼光で思いっきりイーピンを空へ投げる。
「さすが野球部…すっごい飛んだ」
「ざっとこんなもんよ」
すると次の瞬間、空中で激しい光と共にイーピンは爆発した。
人間が爆発する事実を目前にツナたちは口をあんぐり開けて驚きを隠せなかった。
◇
その後、今回の騒ぎの発端となったイーピンに事情を聞くべく捕まえようとしていた獄寺を小さい子だから許してあげてとなだめ、葵はイーピンを腕の中に抱いた。
そんな光景を気に食わなさそうに獄寺は眺めていた。
「でも、何であんな事に…?」
「えっと、こいつがいきなりオレを殺すって言い出して……」
「え?」
ツナの話によるとイーピンは中国からツナを殺すために日本にやってきたらしい。
そしてちょうど屋上で鉢合わせて、決闘を申し込まれて先程の爆発に至ったという。
「イーピン。この写真のやつを殺せって言われたんだよな」
ターゲットが写っているであろう写真を見せながらリボーンが聞くとイーピンはコクリと頷く。
他の4人も写真の人物を確認した瞬間、頭に疑問符を浮かべる。
「ん?」
「あれ?」
「こいつはツナじゃねーぞ」
写真にはツナには似ても似つかない別人が写っており、今回の件はイーピンの勘違いだったのだ。
どうやらイーピンはド近眼らしく、そのせいでツナと写真の人物を見間違えたとか。
「まだまだ未熟だな」
リボーンにも言われた通り、イーピンは自分の未熟さに気づき日本に留まって修行をすることに決めたらしい。
だが、照れたら始まる箇子時限超爆のカウントダウンを制御するのは照れ屋なイーピンにはまだまだ先の話になるだろう。
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