明日晴れるかな(日常編) | ナノ

 なんのために(5/5)



思ったよりリボーンとゆっくり会話してたらしく気づけば昼休みは終わり午後の授業が始まっていた。
先生たちに見つからないようにまずは応接室を覗いてみるが雲雀の姿はなかったので、もう1つ雲雀のよくいる場所…先程の現場でもある屋上へと足を運ぶと青空の下仰向けで寝転がる雲雀の姿があった。

意気込んだもののいざ本人を目の前にすると足取りが重くなったが、それではダメだと軽く頬を叩いて叱咤し、雲雀に声をかけた。



「ヒバリさん!」

「……何」

「あの───さっきはすみませんでした!」

「それってどっちに対して」

「!?」



雲雀は軽く上半身を起こすと近くで頭を下げて立っている葵の腕を掴む。
心做しかその掴む手には力がこもっているように感じた。



「手を抜いたこと?それとも最後に手を出したこと?もし後者のこと言ってるなら───怒るよ」

「!!(これはヤバい……!!)」

「……まあ、いいや。今はひとりにさせて」

「へ?」



予期せぬ発言に思わず葵はまぬけな声が漏れていた。
雲雀はそれに少しだけ笑うと掴んでいた腕を離し、もう一度寝転び直す。



「……えと───(これで良いのかな……?)」

「……僕は葉っぱの落ちる音でも目が覚める。物音を立てようものなら───」

「すぐに立ち去ります!失礼します!」



バタバタと足音を立てながら葵は急いで屋上を後にした。
その様子に小さくため息を吐き、雲雀は改めて目を閉じた。







「…よし。山下!これからはサボるなよ!」

「す、すみませんでした…」



屋上を出てから運悪く生活指導担当の先生に出くわしてしまい別室で説教と反省文を書かされていた。
ヘロヘロになって外に出てみると既に放課後になっていて窓外の空に浮かぶ太陽は傾きかけていた。

入ってくる風が少し涼しくて、もうすぐ秋がやって来ることを肌で感じていると声をかけられる。



「おい、サボり魔」

「!」

「一緒に帰ろーぜ。葵」



ツナ、獄寺、山本のいつもの三人の姿。
屋上での一件があってから会うのに気まずさを感じていたが、実際に三人の顔を見て安心している自分がいた。
ふと泣きそうになり葵は眉間にシワを寄せながら目を細めると三人は焦りながら大丈夫と心配していた。



「怖がらせてごめん…」



消えそうな声で呟く葵に三人は目を見開き見つめ合う。
そして獄寺が一歩近づきデコピンを食らわすと綺麗に決まり、葵はおでこを抑えながら痛みに悶えた。



「い゛っ…い゛た゛い゛……!!」

「馬鹿か。オレらを舐めんな」

「!」

「確かにビックリしたけど───あれってツナを護ろうとしてくれたんだろ?葵すんげーじゃん」

「……葵」



今まで黙っていたツナが一歩前に出ると葵を見つめながら優しく声をかける。



「助けてくれてありがとう!葵がいなかったらオレ…間違いなくヒバリさんに咬み殺されてたよ……」

「!」

「ま、まあヒバリくらいオレでも倒せたけどな」



笑い合う三人の姿は見慣れた光景のはずなのに、ふと胸が苦しくなる時があるんだ。



「……ツナ」

「!」

「獄寺、山本───ありがとう」

「な、なんだよ改まって……」

「なんか照れるな、ハハッ」

「そ、そうだね…!」

「…………」



だけど…

自然と笑顔になれるこの居場所を、
オレを受け入れてくれたみんなを、

オレは───





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