明日晴れるかな(日常編) | ナノ

 なんのために(2/5)



場所は変わって並盛公園。
あれから無事に女の子を学校に送り届けたもののもう1時間目が始まっている時間で今から行っても遅刻確定。

朝からなんだかやる気の出なかった葵は学校をサボり、ブランコに揺られていた。



「あら、あれって並中の───」

「こんな時間にどうしてここにいるのかしら───」

「(……さすがに制服だと目立つよな)」



視線に耐えられなくなりブランコから立ち上がると、家に帰る訳にもいかないのでとりあえず並中に向かうかと公園を出ようとした時、目の前にバイクがとまる。

ヘルメットをしていて顔は見えないが、学ランをまとい、腕には風紀委員長の腕章がついていたからすぐに誰かわかった。



「ヒバリさん…何してるんですか?」

「それはこっちの台詞だよ、葵」



ヘルメットを取るといつも見慣れた雲雀の姿が。
だが、中学生?がバイクにまたがっている様子はいささか不釣り合いな光景で葵は首を傾げていた。



「オレはいろいろあって遅刻しちゃって…」

「ふうん。僕は並盛の風紀が乱れてないか見回りしてたところさ」

「ところで…バイクって中学生乗れましたっけ?」

「さあね」

「(な、流されたー!)」



雲雀はもう1つヘルメットを取り出すと葵に渡す。



「君がサボってることは見回りに付き合ってくれたら目を瞑ってあげる」

「オレもバイクに乗って見回りするんですか!?」

「問題ある?」

「問題もですが突っ込みどころもありすぎて…」

「…………」



雲雀は面倒くさそうな表情を浮かべると葵の手からヘルメットを取り、それをそのまま葵の頭に被せた。



「わっ」

「乗って」

「(やっぱり選択肢なんかなかった……)」



そんな雲雀に苦笑いを浮かべつつバイクの後ろへと跨る。
そしてその後座った雲雀のどこを掴もうかあわあわしていると、それを見かねた雲雀が葵の手を掴み自身の腰へと手を回させた。



「!」

「出発するよ。君は群れてるやつがいないか見てて」

「わ…わかりました!」



初めて乗ったバイクは春の心地の良い風を体全体で感じることが出来て、想像以上に楽しかった。

葵が笑顔で周りを見渡しているとそれに気づいた雲雀は声をかけた。



「群れてる草食動物見つかったの」

「んー…残念ながらいないですね」

「そのわりには嬉しそうだね」

「バイクって気持ちいいですね。オレもいつか免許取ろうかな───」

「……別に取らなくていいんじゃないの」

「?」



信号待ちになったかと思うと雲雀は少しだけ葵の方を振り向きながら言った。



「僕が乗せてあげる」



ヘルメットで表情は見えなかったけど、いつもと少し違う雲雀の様子を察して、なんだか可笑しくなって葵は笑った。



「あははっ。なんだか群れるの嫌いなヒバリさんらしくないですね」

「…………」

「でも、ありがとうございます。またバイクで見回りする時は誘ってくださいね」

「……!」



最初は赤ん坊の知り合いだから興味があっただけだった。

だけど、些細なことで一喜一憂する姿を見ると不思議な気持ちに襲われる。



「……ヒバリさん?」



中でもその笑顔は───







キーンコーンカーンコーン



昼休みを告げるチャイムが鳴り響いて、みんな席を立ち喋り声でざわざわと教室内が賑やかになっていく。
授業で使っていた教科書を片付けつつため息を吐いていると山本が笑顔で言った。



「よ、メシ行こーぜ」

「そ、そうだね」

「なんか……浮かねー顔してんのな、ツナ」

「だって葵が……」

「葵?」



自分より早く出たはずなのになんでいないのか…嫌な想像を勝手にしてはツナは不安にかられていた。
すると山本はそれなら心配ねーよと一言。
それを聞いてどうして、と山本の方を向き直ると山本は校庭を指さしながら言った。



「授業中、ヒバリと一緒に歩いてるとこ見たぜ。オレの席窓際だからよく見えるんだよな〜」

「はあ〜〜…風紀委員だったのか〜〜よかった〜〜……って、よくはないか」

「ハハッ。まあ、ヒバリのやつ葵のこと気に入ってるみたいだし大丈夫だって」

「(だから逆に心配なんだけど───)」



しかし自分たちが何を言っても雲雀は言うことを聞かないだろうと知っているツナは仕方ないかと思いつつ、山本達といつもお昼を食べている屋上へと向かった。





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